がんの血液検査には「有害無益」な項目がある 「早期発見」の声に流されず、賢い選択を!
がんという奴は本当に厄介な病気だ。その疑いがあると考えただけで精神的なダメージを受けるし、取り越し苦労に終わる場合も多い。この手のドタバタ劇を映画やドラマでもよく見かける。
腫瘍内科の第一人者で『がんとともに、自分らしく生きる』の著者でもある、虎の門病院臨床腫瘍科の高野利実部長による3回連載の2回目は、健康診断のオプションである「腫瘍マーカー」がテーマだ。要は血液を調べて、がんの存否を判定しようというもの。高野氏いわく、この検査は非常に罪つくりな代物で、振り回されないためには注意が必要だ。
健康診断や人間ドックを受けたことのある方は、その結果報告書をみてほしい。血液検査に「腫瘍マーカー」あるいは「CEA」「CA19-9」といった項目が入っていないだろうか。
オプションとして、なんとなくやっておいた方がよさそうだと、いろいろな腫瘍マーカー検査を追加した方もいるかもしれない。
「早期発見」には使えない
実は、この腫瘍マーカー、一部の例外を除くと、がんの早期発見の役には立たず、デメリットを考えると、検査しない方がよいものがほとんどだ。「有害無益」と言っても差し支えない。百歩譲って「百害あって一利くらい」はあるのかもしれない、という程度だ。
今回はその理由を詳しく説明する。これまで、何も考えず漫然と検査を受けてきた方の、お役に立てば幸いである。
腫瘍マーカーは医療現場で広く活用されている。しかし、一般に、がんの勢いを調べて治療に生かせるのは、全身にがんが広がっている「進行がん」の場合に限られる。「早期がん」で腫瘍マーカーの数値が上昇することは、ほとんどないのだ。
トピックボードAD
有料会員限定記事
ライフの人気記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら