「ゆとり部下」に泣かされる人は、何が問題か 指導の方向性を誤ると自分も組織も疲弊する

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管理職世代も、かつて自分たちが「新人類」と年長者から一括りにされ、不快に感じたことがあったはずです。「これだからゆとりは!」と考えがちな方は、偏った対人認知に陥っていないか、点検してみてください。

さて、本連載で毎回のように書き続けている「べき論」。先輩・上司の「仕事はこうあるべき」と、半ば常識のように感じていることであっても、若者はその常識の理解に苦しむことがあります。なぜなら、「みんな違って、みんな素敵」と教えられてきた世代だからです。

そして「悟る」若者は、「最低限叱られないための方法」を重視する一方、「大体これぐらいやっておけばいいでしょ」「別に偉くなりたいわけではないし」といった態度で仕事に臨む者もいます。先輩・上司は、余計に腹が立つはずですし、「そんなことも分からないのか! 常識だろ!」と恫喝するような事態にもつながってしまいます。

ドラマでは、大手企業に勤務する若者が、人事異動によって自分を励まし続けてくれた上司と離れてしまい、それを契機に自殺してしまうシーンがありました。「人間関係からくるプレッシャーに弱い」「 失敗によってひどく傷つく」といった傾向は、確かに今の若者の特徴としてよく指摘されることです。

とはいえ、こうした状況について「最近の若いのは、ゆとりで草食系で、根性がないんだよ」と嘆いたところで、何も解決しません。むしろ、そうしたことを口走ることで余計に関係がこじれ、ひいては離職が相次ぎ、職場の生産性を落とすことになりかねません。

指導のベクトルを誤って、部下が心身を病んだり、自らの命を断つようなことになったりすれば、その管理職も、所属企業も、大きな責任と負担を背負うことになります。

 部下を変える、2つの「真逆のアプローチ」

ここで少し、社会心理学にヒントを求めましょう。社会心理学では「強い期待を抱かれた人が、その期待通りに物事を成就させていく」ことを「ピグマリオン効果」と呼んでいます。これは教師期待効果とも呼ばれ、教師が期待をかけるほど、生徒の成績が向上するという状態を指します。

一方、期待・説得とは逆の方向に態度が変わってしまうことを「ブーメラン効果」といいます。受け手にとって自分の自由度が重要であるほど、説得されたことと反対の行動を取り、自由の回復を図ろうとする行為です。たとえば愛煙家が嫌煙者から「体によくないよ」と厳しく指摘されたのに対し、やめるどころか、喫煙を助長させるようなことです。

またこれに関連して、「説得力」の条件には「送り手の信憑性」が挙げられます。同じメッセージでも、Aさんが言うのと、Bさんが言うのでは、まったく響き方が違うといった状況です。

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