TDLを抜いたUSJ、いったい何を変えたのか 「ハリポタ」だけが来客増の理由ではない!

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消費者視点の発想というものは、意外とできそうでできないものです。今、日本の多くのメーカーが陥っているのはここではないでしょうか。長らく日本のメーカーは、技術者が開発したものを製品化して売るというビジネスを展開してきました。いわゆる「技術主導」のビジネスです。

しかし技術が成熟してくると、技術だけでは圧倒的な差は生まれにくくなります。むしろ技術を社内に持たず、センスと発想力に強みを持つアップルのような企業が世界を制しています。スティーブ・ジョブズは「テキサスのおばさんでも簡単に使える機械」を目指していたそうです。アップルの成功は技術の成功ではなく、まさに消費者視点=マーケティングの成功なのです。

日本には強力なマーケターが少ない

『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』は4月23日発売(上の書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

一方、日本では、マーケティング部というと市場調査とか販売促進とか、実態がよくわからない部署で、あまり機能していないケースが多いように思います。

マーケティングは米国が発祥の学問であるため、日本ではよく理解されていないのが実情でしょう。しかし時代は変わりました。技術だけで世界に君臨できる時代ではなくなっているのです。消費者視点を持てない企業は、今後ますます苦しくなるでしょう。

私が危惧するのは、日本には強力なマーケターが少ないということです。マーケティングそのものに対する理解も低い。このままでは、日本の優秀なマーケターは外資系企業に流出するばかりです。その先に待っているのは、日本企業の全面敗北です。

日本を愛する私としては、そんな状況を指をくわえて見ているわけにはいきません。そこでこのたび4月23日に上梓したのが、2冊目の著書『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』です。本書には、あらゆる仕事における業務効率と成功の確率を上げる「マーケティング思考」の基本をわかりやすく書きました。マーケティング思考がビジネスにどれほど劇的な変化をもたらすかは、USJの成功を見れば納得していただけると自負しています。

森岡 毅 ユー・エス・ジェイ チーフ・マーケティング・オフィサー

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もりおか つよし

1972年、兵庫県出身。神戸大学経営学部卒。96年、P&G入社。日本ヴィダルサスーン、北米パンテーンのブランドマネージャー、ウエラジャパン副代表などを経て、2010年にユー・エス・ジェイ入社。革新的なアイデアを次々投入し、窮地にあったユニバーサル・スタジオ・ジャパンをV字回復させる。12年より同社チーフ・マーケティング・オフィサー、執行役員、マーケティング本部長。著書に『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』(角川文庫)。『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』『確率思考の戦略(仮)』(KADOKAWA)も近日刊行予定。

 

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