雑談をしない人が、結局結果を残せないワケ

ANA社員が大事にする「ハンガートーク」

このしくみは、「ECHO(Experience Can Help Others:自発的安全報告制度)」といいます。運航乗務員の「ヒヤリハット」経験を共有するための制度で、1991年に始まりました。勘違いや錯覚などによる誤判断や誤操作などの事例、それに事故の防止に役立つと思えた経験などを報告します。

ANAグループ内には、このECHOでのレポートを管理しまとめるECHO委員会があります。この委員会がレポート情報を整理し、『ECHO』という社内情報誌にして、年6、7回発行してきました。現在ではウェブのイントラネットがこの役割を果たしています。

「誰が」ではなく「何が」に目を向ける

ECHO制度のポイントは、「発言者の名前は公開されない」ことを保証している点です。匿名にする理由は、運航乗務員に少しでも気軽に報告してもらうためです。

仲間内では「この前こんなことがあってさ」とハンガートークできることでも、2500人もいる乗務員に対して同じことができるかというと、難しい。でも、匿名であれば、勇気をもって発言するハードルはかなり低くなります。

もともと、ANAには自分の経験したことを、他の社員に伝えるという社風や雰囲気がありましたが、それだけでは、次々に入社してくる新入社員を含め広く情報共有することはできません。だからこそ、匿名にすることでさらにレポートを出しやすくするしくみを整えたのです。また、このしくみは事故の未然防止を狙ったものです。名前を示さないことで「誰がした」でなく「何が起きた」のほうに関心を向けさせています。

ハンガートークで直接仲間に話をするのと、ECHOに匿名でレポートをするのとでは、それぞれに長所があります。あるベテラン機長は次のように比較します。

「直接伝えるハンガートークには、文章では伝わってこない生々しさがあります。そのときの本人の心理状態なども克明にわかります。一方で、ECHOによる情報共有では、一人の経験をすべての乗務員が共有することができます」

次ページ「しくみ」と「経験知」
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