あのケンタが「一人飲み女性」を魅了するワケ KFCの新業態は「ちょい飲み」とは全然違う

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女性客の1人飲みが多いのも予想外だったという。職場と自宅の間にちょっとリラックスできる場所が欲しい、という女性のニーズにヒットしたようだ。女性にとっては、バーなどに1人で入るというのはまだまだ敷居が高いが、ファストフードのイメージが強いKFCなら、あまり構えることなく入れるのだろう。

同社では、この業態最適化のポテンシャルを非常に高くとらえている。高田馬場店のようなカフェ&バー業態なら、ふさわしい立地は100の単位に上る。また、ビュッフェレストランタイプなら20~50カ所は展開できそうだ。そのほかにも、土地に合わせたさまざまな業態を、今後、増やしていきたいという。

目指すは「ファストレストラン」

日本KFCホールディングス・執行役員早田正一経営企画部部長

「ファストフードを進化させた“ファストレストラン”という新しいジャンルを確立したい。ファストレストランはファストフードとレストランの利点を併せ持ち、クイックサービス、こだわりの原材料、店舗内での調理、居心地のいい店内空間などという条件を備える店舗を言う。米国などでは“ファストカジュアルレストラン”と呼ばれ、今、非常に伸びているジャンルだ。KFCは求められる多くの要素をもともと備えている。あとは土地柄に合わせた店作りで“居心地のよさ”を出していく」(早田氏)

日本にも古来、立ち飲み屋、バーなどのちょい飲み文化は存在したが、これまではどちらかといえば、限られた”通”に楽しまれてきた感がある。しかしさまざまな業界が、国内外のチェーンを問わずこの市場に参入して来た今、ちょい飲み文化の一般化が図られつつあるように感じる。大きな変化が起こる日もそう遠くないだろう。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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