米国の経常収支は改善へ 米国シェール革命と日本《2》
--米国のシェール革命においてリスクはどのようなものがありますか。
一つには、埋蔵量を巡る不確実性がある。EIAの公表では、シェールガスの技術的回収可能な未確認埋蔵量は10年の347兆立方フィートから11年に827兆立方フィートへ増えたが、12年には482兆立方フィートに下方修正された。
もう一つ、より重要なのは環境問題だ。地下水や地質、大気汚染、あるいは水圧破砕法によってシェール層に割れ目を作ったときの影響で小規模地震が増えるといった事象も報道されており、環境保護団体の圧力が強まっている。シェールガスやシェールオイルの潜在力を生かすには、環境への配慮や社会の受け入れが欠かせない。
欧州でもフランスなどシェールガスの埋蔵量がかなりあるが、環境問題への配慮から開発が進んでいない状態。また、中国は埋蔵量で世界最大とされているが、採掘には水を大量に使うため、慢性的な水不足を抱える中で水の確保が難しいという状況がある。
--シェール革命も後押しするというドル高円安はいつ起こるのでしょうか。
米国がエネルギーの輸入依存度を低下させる一方、日本は現状、原発事故もあって輸入依存度が高まっている状況。特に原油高が進む中で、日本の経常収支が大きく悪化して、米国は悪化しないとなれば、ドル高円安へ進む流れが従来よりも強くなる。