相性のよさは性格だけではなかった。3回目のデートで明彦さんが住んでいたアパートに泊りがけで遊びに行ったところ、翌月には妊娠が発覚したのだ。
「39歳で妊娠のチャンスを逃すな!」
「2カ月後に女友達を連れて台湾旅行をする計画がありました。私が案内しようと張り切っていたので焦りましたね。病院の先生に『旅行は行っても大丈夫ですよね?』と相談したら、『ふざけるな。あなたは39歳。妊娠する最後のチャンスかもしれない。いったい何だと思ってるんだ』とすごく叱られて……。同居している両親には旅行に行けない理由を話すことになるので、ダンナと相談したら『じゃあ、挨拶に行きましょう』と言ってくれました」
後悔という文字を知らないバブル世代の直子さん。明るいのはいいことだが、ロスジェネ世代の聞き手として確認しておきたいことがある。3回目のデートでお泊りして妊娠したというが、避妊はしなかったのだろうか。明彦さんとの結婚を視野に入れていたのか。
「うーん。流れでそういうことになって、(避妊の)用意をしていなかったんです。ダンナの前に付き合っていたのは10歳年下の男の子で、そのときはちゃんと避妊していました。だって、彼は20代の子どもだから。さすがに結婚の話にはなりにくいでしょう」
考える前に直感で行動している直子さんの話を筆者なりに解釈すると、年齢も近くて優しい明彦さんに対しては「結婚してもいい」という感覚をぼんやりと抱いていたのだろう。ただし、直子さんは自分の年齢を悪気なく5歳若く公言してしまうような自己認識の持ち主であり、「いい男だから危険日に酔った勢いで避妊なしのセックスをして授かり婚を狙おう」といった計算はしていないはずだ。
直子さんは39歳にして「若気の至り」で子どもを作り、結果として幸せな家庭生活を得た。学生時代から様々な男性と積極的に関わってきて、直感力が磨かれたのかもしれない。最後の男性として選ばれた明彦さんがちょっとうらやましい。
明彦さんの話も少し聞いておきたい。5歳年上の女性とお付き合いして結婚することをどのように考えていたのだろうか。
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