円高は米中密約で日本が犠牲になった結果だ

武者陵司が読むG20の「舞台裏」

現在、日本の株式取引の約7割を占めているのが外国投資家だが、彼らは日本株を買うときには同時に円を売る。なぜなら、日本株を買っても円安になれば利益が相殺されてしまうからだ。逆に、日本株から撤退するときには円を買い戻す。だから、株安は円高につながる。

したがって、外国投資家が日本株の売却を踏みとどまるような根拠を示すことができれば、株売りが止まり、円高も止まる。逆に外国投資家が納得するような自律的な経済拡大のシナリオを描けなければ、際限のない円高・株安の悪循環に陥るだろう。

「第三の矢」に求められる方向性

手っ取り早くできる経済対策は財政出動だ。消費増税も延期されるべきだろう。加えて決定的に大事なのが、国民の保有する資産のシフトによる経済活性化だ。国民の金融資産は現金・預金・国債といった安全資産に眠っている。安全資産と言えば聞こえはよいが、これらはキャッシュフローを生み出さず、需要を何も生まない。

このいびつな構造に日本の経済活力が低い原因がある。タンスに寝ている資金を有効に使う手段はいろいろある。企業が賃金を上げるのも有効だし、配当を増やしたり、自社株買いをしたりするのもよい。企業が遊ばせている資金を有効に使えば、株主や家計の収入が増えて、結果として需要創造につながる。

さらに中長期的には、国民がおカネを使える環境を提供する必要がある。たとえば、保育所、託児所などを作ればお母さんが働けるようになり、託児所などにもおカネが入る。遊んでいる労働力、遊んでいる資本、満たされない欲求の3つを組み合わせれば自然に需要が生まれてくる。これらのマッチングが安倍政権の三本目の矢である構造改革でやらなければならないことだ。

(構成)渡辺 拓未

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