会社の正しい辞め時を見極める「3つの質問」 単なる「比較論」には要注意

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例えば、シャープや東芝のように社会的な批判の矢面に立つ会社に勤務している場合。「おたくの会社も大変ですよね」と周囲から言われる機会が増えて、「世間をお騒がせしてすいません」と回答せざるを得なくなります。自分の責任ではないのに肩身の狭い状況です。自分と同世代で別の会社に勤務している人と比較して「恵まれていない」と思えてしまいそうなもの。批判される時期が短期間で終わればいいのですが、長く続けば会社を辞める決意にもつながりかねません。では、辞めたい気持ちが高まった時にすんなり辞めてもいいのか?正しい辞め時はあるのでしょうか。

辞め時の見極めをどうするか

今が本当に辞めるべき時なのか、見極めるのは難しいものです。知人の中に、「ボーナスをもらってから辞めるべきで、支給されたら辞めればいい」とアドバイスしてくれた人がいました。確かにもっともですが、辞めたあとも仕事をする会社を探す=転職活動の必要が待ったをかけます。

ボーナス支給時期も大事ですが、それよりもっと重要な「将来に向けて」の準備をするタイミングを誤ると、よい転職ができないばかりか、場合によっては今より環境が悪くなってしまうこともあります。そして、辞めたあとの自分を辞める前と比較することになることも、忘れずに。そこで辞め時かどうかを確かめるため、自分に対して3つの質問をぶつけてみてください。

[1、不満は一過性でなく、継続するものか?]

些細な不満で感情的になっているだけという場合は、今一度冷静になるべきです。

[2、(社内で)環境が変わったら改善するか?]

人事異動で上司が変われば解決してしまう不満なら辞める必要はありません。限定された職場の人間関係による不満でしかないからです。

[3、不満は、客観的な判断といえるか?]

冷静に同業他社の給与や評価などを調べてみると、実は悪くない待遇だったことが分かる場合もあります。今一度、自分の主観だけで判断していないか調べてみてください。辞めてから「前の方が良かった」と後悔する人をたくさんみてきたからです。

この3つの質問に対してすべてYESと言えるなら辞め時かもしれません。逆に1つでもNoがあるならば辞め時ではないと考えて、今の職場で頑張ることを考えてみてください。また、辞め時でないのに辞めたい気持ちが高まって仕方ない場合もあります。そのようなときにはどうしたらいいのか?

《仕事以外の楽しみを優先する》

これがおすすめです。趣味の幅を広げ、深めることで会社への不満が薄れるなど、自分の視点や、考え方を変えて仕事を楽しめるようになったという人もいます。辞めたい衝動がありながらも辞め時でないと思えるなら、とにかく冷静に行動しましょう。辞め時の見極めは慎重であるに越したことはありません。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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