三菱自動車、変わりえない「隠蔽体質」の末路 燃費試験で不正発覚、対象は62.5万台に
「非常に無念でもあり、忸怩たる思いだ」――。三菱自動車の相川哲郎社長は険しい表情で語った。
4月20日、三菱自動車の相川社長は国土交通省で会見し、軽自動車の燃費試験データに不正があったと発表した。該当する車種は2013年6月から同社が生産する「eKワゴン」「eKスペース」に加え、日産自動車向けに供給している「デイズ」「デイズルークス」の4車種。三菱自はこれまで15.7万台を販売、日産向けには46.8万台を生産している。
不正は日産の指摘を受けて発覚したものだ。日産が新モデル開発にあたって該当車の燃費を測定、三菱自動車が国土交通省に提出したデータと乖離があり、三菱自動車側に確認を求めたことで明らかになった。三菱自動車によると、燃費の届け出値と、実際の燃費との乖離は5~10%になるという。
国内販売に深刻な影響も…
三菱自動車は、当時、性能実験を担当する部長が不正の指示をしたと説明したものの、不正に関与した人数や背景については、「全体のヒヤリングが終わっていない」「外部による調査委員会の調査がまとまってから」などと詳細を明らかにしなかった。顧客への補償や販売店への対応についても「誠実に対応する」としたが、検討中として、具体的な内容が語られることはなかった。
三菱自動車は2000年、2004年と2度にわたるリコール隠し発覚により経営危機に陥った。そこで三菱商事出身の益子修氏がトップに就任し、再建を主導。2013年度は過去最高益と16年ぶりの復配を果たし、再建にメドをつけた。2014年度も最高益を更新しており、2014年6月に就任した相川社長のもとで三菱ブランドの再構築を進めていた矢先の出来事だった。
不正が行われていたのは国内販売10.2万台(2015年暦年)の6割を占める軽自動車。国内販売への打撃が大きいうえに、次期型軽自動車の協業継続と基本合意をしていた日産との関係に亀裂が入れば、国内戦略の方向修正は避けられない。2004年以降、少しずつ積み重ねてきたブランド再構築の石垣は、大きく崩れ去るのか。
会見の主な1問1答は次ページの通り。
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