ブラジル、ルセフ大統領退陣ならどうなる? 下院で弾劾手続き可決、5月に上院で採決へ

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弾劾申請が行われた直接的な原因は、政府が2014年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)目標を達成するため、歳出の一部を政府系金融機関に一時的に肩代わりさせたことで事実上「粉飾」を行ったこととされる。なお、この会計を巡る粉飾については、2015年10月に連邦会計裁判所が連邦議会に対して会計報告の不承認を勧告したことで、政府は未払い処理された金額を政府系金融機関に対して清算している。

しかしながら、議会がルセフ大統領に対する弾劾手続きを承認する方向に傾いたのは、国民の間からルセフ政権に対する不満が高まっていることも後押ししたと考えられる。

ブラジルではここ数年、ルセフ政権による経済政策への不満から、市民による反政府デモが散発的に起こる事態が続いている。デモが発生した当初のきっかけは、サッカーワールドカップをはじめとする国際イベントの招致に伴い公共投資は拡大する一方で、教育や医療保健関連支出は抑制され、公共交通機関の料金値上げが行われたことなどに対する反発だった。

金融市場はルセフ退陣に期待しすぎている

ところが、昨年以降はルセフ大統領の退陣を求める動きなどに大きく変質して、ルセフ政権を取り巻く環境は日に日に悪化の一途を辿ることとなった。さらに、年明け以降は連立与党を形成してきた政党が徐々に離脱する動きが広がり、ルセフ政権にとっては厳しい展開に一段と拍車が掛かった。

今後の政治日程としては、来月にも上院で弾劾手続きの可否について採決が行われる見通しで、過半数が賛成して可決されれば、上院に弾劾裁判所が設置され、最高裁判所長官を議長とする形で弾劾裁判が実施されるとともに、ルセフ大統領は職務停止措置を受ける。

その場合、テメル副大統領がルセフ大統領に代わって大統領職を代行する形となるが、その後にルセフ大統領が弾劾裁判で有罪となれば失職し、2018年の任期満了までテメル副大統領が後任を務めることとなる。

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