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米大統領選の共和党候補指名を争う不動産王ドナルド・トランプ氏がなぜ躍進しているのか、米国民の多くが知りたがっている。
最初に理解すべきは、誰が大統領選に出馬するか、その決定について米国の政党は無力だということだ。大統領候補は実のところ、フリーランサーなのである。ある者は単に自身のエゴや欲望によって出馬を望み、仮に出馬できれば、敗退しても出版やテレビ出演で私腹を肥やし、演説家としてのキャリアを獲得しようとする。
トランプ氏も自身の名声を望み、指名争いに名乗りを上げた。彼は時代の精神をよく読み取っている。製造業主体から情報社会へと社会が変化する中、取り残された労働者の怒りに訴えかけたのだ。この労働者たちは、北米自由貿易協定(NAFTA)などの取り決めで、工場がメキシコに移ってリストラされたり、賃下げの圧力にさらされた人たちだ。
移民を殺人者呼ばわり
彼はNAFTAを酷評しており、大統領になれば労働者により有利な協定を結ぶと約束している。また移民反対の感情にも訴えかけており、メキシコからの移民を「レイピスト」「殺人者たち」などとの過激な言い方で呼んだこともある。
トランプ氏の躍進は、彼のビジネスマンとしての成功が前提となって成り立っている。しかし実際、どれほど成功したかは不透明だ。彼はこれまで4度破産しており、事業に失敗した経験も多いとされる。保有資産は100億ドルに上ると自称しているが、その真偽について質問されると苛立ちを隠さず、納税用の所得申告書を公表することも渋っている。
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