トランプ氏の選挙活動には当初からファシズムのにおいが漂っていた。力を有する者が、力なき者を制していくのである。2015年11月、アラバマ州での集会において、トランプ氏の支持者数人が、抗議した黒人に暴力を働いた。
その際、トランプ氏は支持者らに、さらなる暴力を振るうよう促し、「やつをここから追い出せ」と叫んだ。この言葉の響きと聴衆の反応を好み、トランプ氏はその後の集会でも同じフレーズを繰り返した。
暴力を促すことは、トランプ氏がさらなる力を得るための武器の一つだ。3月半ばのシカゴの集会でも暴力事件が起こったが、彼はそこでも暴力を促した。そのうえで集会を中止して称賛を受けたのだ。
彼は暴力事件の映像が何度も放送されるよう、主要なケーブルテレビ局からインタビューも受けていた。このケースは以前のような、事故によるものだとは考えにくかった。
高まる危険
共和党は今、あまりに力が分散されている。そのナショナリズムなどゆえに、トランプ氏が危険人物だという見方が強まっても、その躍進を阻止することができない。
共和党の一部では一時期、トランプ氏が大統領になっても悪くはないのではないかとの声が出たこともあったが、同氏が暴力を助長する姿勢を鮮明にし始めると、そうした意見は聞かれなくなった。ファシズムの危険は高まるばかりだ。
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