つまり、この世代の方々が旅行にせよ、娯楽にせよ、日本の消費を増加させる。すなわち、内需が拡大していくことで日本経済を支えているのである。
しかし、この高齢者の方々の消費拡大は一時的なもので、貯蓄を使い果たすと終了となる。現在、国会も閉会しており、新たな経済政策を進めることはできない。高齢者の投票率の高さを見れば、政治への影響力も強いということが推察される。ということは、政策も必然的に高齢者向きとなる可能性が高い。
世界各国の中央銀行は、相次いで金融緩和に踏み切ったが、その効果は年々低下してきている。規制緩和をベースとしながらも、産業育成と構造改革を進め、日本全体の収入(給料)を上げていく経済政策こそ肝要となる。金融緩和だけでは産業強化と構造改革は進まない。
この映画の主人公たちは、報酬も抜群に高く、「経済構造」という点から見れば、問題ない(ただ、彼らの報酬以上に破壊活動もされているかもしれないが<笑>)。このように、労働と給与のバランスがうまく行けばよいのだが、そのようにうまくいく確率が低いから、映画にもなるのではないか。
10月20日公開
しゅくわ・じゅんいち
博士(経済学)・映画評論家・慶應義塾大学経済学部非常勤講師・ボランティア公開講義「宿輪ゼミ」代表。1987年慶應義塾大学経済学部卒、富士銀行入行。シカゴなど海外勤務などを経て、98年UFJ(三和)銀行に移籍。企画部、UFJホールディングス他に勤務。非常勤講師として、東京大学大学院(3年)、(中国)清華大大学院、上智大学、早稲田大学(5年)等で教鞭。財務省・経産省・外務省等研究会委員を歴任。著書は、『ローマの休日とユーロの謎』(東洋経済新報社)、『通貨経済学入門』・『アジア金融システムの経済学』(以上、日本経済新聞出版社)他多数。公式サイト:http://www.shukuwa.jp/、Twitter:JUNICHISHUKUWA、facebook:junichishukuwa ※本稿の内容はすべて筆者個人の見解に基づくもので、所属する組織のものではありません。
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