ビル・ゲイツが次の大統領に望む唯一のこと 米国の成長は技術革新に委ねられている
今回の大統領選挙は米国をうっとりさせている。数多くのコメンテーターが指摘したように、政策よりもパーソナリティーが注目を浴びている。各党は現在、指名候補を誰にするかに注力しているが、私としては、11月にすべての候補に同意して欲しいことを述べたい。それは技術革新に向けた米国の比類なき能力についてだ。
米国が技術革新に投資すれば、企業や雇用が創出されるとともに、米国人の健康や安全性も高まる。そして、世界で最も貧しい諸国で人命が守られ貧困が克服されることにも寄与する。次期大統領は技術革新への投資を通じて、米国をはじめとする世界の人々に資する機会を与えられるのだ。
米国は発明を続けてきた
もちろん、技術革新は今に始まったものではない。米国は過去2世紀余りにわたって発明を続けてきた。ベンジャミン・フランクリンやマーガレット・ナイト、トーマス・エジソンらを生んだ国なのだ。
第二次大戦終結までに米国は、自動車、航空、電機、製薬などの分野で世界を主導してきた。成功の方式もまた、複雑ではなかった。米政府が世界一流の調査機関へ資金支援を行ったことによって、米国の企業家たちは世界に新しいテクノロジーの数々をもたらすことができた。
現在は、かつてないほど多くの国々が世界で覇権を握るために競争している。こうした国々は技術革新の価値を理解している。2000年以降、韓国の研究開発費が国内総生産(GDP)に占める比率は90%上昇した。中国に至っては倍増させている。ただ、米国では基本的に横ばいだ。他国が技術革新に力を入れ、市場に参入するのは大いに歓迎すべきことだが、米国が主導的地位を保つには、より一層の努力が必要だ。