ビル・ゲイツが次の大統領に望む唯一のこと 米国の成長は技術革新に委ねられている

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エネルギー分野の投資収益率(ROI)は非常に高い。1978年〜2000年に米エネルギー省は現在の価値にして175億ドル(約1兆9000億円)をエネルギー効率と化石燃料に関する研究開発に投じたが、その経済的利益は410億ドル(約4兆4700億円)に達した。だが、同省の研究開発費は、レーガン政権の時代から実質的には増額されていないのだ。

こうした投資が増えれば、エネルギー業界では新規雇用が創出され、世界を力づける技術を開発できる。気候変動に立ち向かうのに加え、再生可能エネルギーを持たない13億人の貧しい人々に、それを提供できるのだ。

もっと有望な分野としては、ソーラー発電の効率改善や、原子力エネルギーの安全性向上、新たなエネルギー貯蔵技術の開発などが挙げられる。

クリーンエネルギーの研究開発は現在、非常に弾みがついている。米国を含む先進20カ国は昨年、この分野への投資を倍増させることを約束した。

この極めて重大な努力を実行に移すため、私は有望なクリーンエネルギー企業を支援する投資ファンド、ブレークスルー・エナジー・コアリション(BEC)の発起人の一人となった。米国の次期大統領は、この勢いを加速させる機会に恵まれているのだ。

技術革新の重要性に関する共通認識を

政府の研究開発投資は、勝者と敗者を生み出すことを目的としているのではない。それはマーケットがやることだ。米国の起業家のための一定の基盤づくりに向けて、的を絞った投資を行うことこそが目的となるのだ。

2012年の世界経済フォーラムに出席したゲイツ氏 (写真: Flickr/The World Economic Forum via ウィキメディアコモン)

こうした取り組みは、米国が世界でリーダーシップを発揮する上でこれまでの数十年間、不可欠だった。そして今後数年間には、さらに重要になるだろう。

今夏の終わりまでに、各党は大統領候補選定を終え、11月の投票を見据えることになる。指名された両候補は米国のためのビジョンと、その達成に向けた課題の数々について語ることになろう。

双方のビジョンには、共通点よりも相違点の方が多くなるだろう。ただ、米国の将来に関する見方がどうであろうと、私としては、技術革新こそが本質的に重要であるとの共通認識が示されるよう、切望する。

ビル・ゲイツ氏は慈善団体ビル&メリンダ・ゲイツ財団の共同設立者。この記事は同氏個人の見解に基づいている

 

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