それもこれも手に入れる人の超「課題設定力」 そのスキルが会社にも家庭にも幸せを呼ぶ

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つまり、経営層は「企業としてどこへ向かうべきか」(Where)を見定め、管理職層が「何をすべきか」(What)を決め、現場層はそのうち「何をどうやって実行すべきか=What+How+Do」つまり課題設定を自分で行い、実行する非常に高度な能力が求められるようになってきたのです。

「言われたことを粛々とやる」のではもはや不十分です。やるべきことを見極める課題設定力を身につけることがキャリア形成においていかに重要かがおわかりいただけたでしょうか。

問題を捉え直す4つのPとは?

課題設定はロジカルシンキング(論理思考)だけではなく、ラテラルシンキング(水平思考)との“合わせ技”が必要です。きちんと物事を整理することに加えて、発想の転換も求められるためです。この記事でその全てのテクニックやノウハウをお伝えするには残念ながらスペースが足りないため、ここでは「そもそもそれは問題なのか?」と問題を捉え直すために重要となる「4つの視点」をご紹介します。

Purpose(目的)

まずはそもそも何がしたいのかという目的の確認です。これは「なぜ?」を繰り返すことで、それが取り組むべき問題なのかを捉え直していきます。

例えば「橋がなくて不便」という問題らしき事象が出てきたときに、「なぜ橋が必要なのか?」と考えはじめて、「向こう岸に渡りたいから」→「なぜ向こう岸に渡りたいのか?」→「買いたいものがあるから」→「それならインターネットショップが扱っているから届けてもらえる」ということになれば、わざわざ橋をかける必要はありません。

こう書くととても単純で当たり前のように思えますが、ビジネス上は「XXがない」という事象を問題として認識し、やる必要のないことをやってしまうケースは非常に多いのです。「何かがない」、「何かをしていない」という事象だけでは問題ではないということに気がつくようにしましょう。

Position(立場)

よくやってしまいがちなのは、自分の目線で問題を捉えてしまうことです。自分の立場でしか問題を捉えられないとその問題を達成しても大した成果につながりません。

ある鉄道会社の話ですが、車体開発部門と線路部門がそれぞれに、摩耗しにくい車輪と摩耗しにくい線路を追求していった結果、それ以前に比べて、車輪も線路も摩耗が激しくなってしまったことがあったそうです。このようにそれぞれの部門の立場ではなく、ひとつ上の立場に立つことが問題を捉え直す際には大きな意味を持ちます。

例えば顧客満足度を考える際にも、コールセンター、営業部門、開発部門と個別に考えるのではなく、最終的には「顧客にどんなふうに満足してもらうのか?」というあるべき姿への問いかけをそれぞれの部門より上の立場に立って問いかける必要があるわけです。できれば、立場はひとつ上と言わずその先を考えるとよいでしょう。「あなたに仕事を命じた上司」や「仕事を依頼してきたクライアントの担当者」の問題にただ対応するのではなく、上司の上司はどうあるべき姿を考えているのか、担当者だけではなくクライアント企業としてはどうあるべきなのかを考えることが本質的な問題にたどり着くことにつながります。

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