弱肉強食時代に勝つ「戦友型夫婦」の潜在力 「ハウス・オブ・カード」の2人が示唆するもの

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現代は、19世紀までは当たり前だった「食うか食われるか」の競争社会が復活しつつある。そう考えると、20世紀の飽食の時代こそが実は特別であり、人間には本質的に「弱肉強食」が宿命づけられているように感じる。

もちろん、人間の場合の「強」や「弱」の定義は虎やサメとは違うから、それは野生の掟というわけではないが、それでも、強くなければ生きる資格はないといえよう。

『ハウス・オブ・カード』の主人公二人は、そういう時代の空気を敏感に察知し、戦いの中に身を置くという選択をしている。そこで勝とうとしている。

今「夫婦でチームを組む」ことのアドバンテージ

そんな二人の採った戦略が、「夫婦でチームを組む」ということなのだ。

なぜかといえば、その方が有利だからである。現代において、夫婦というのは必ずしも「同志」ではない。彼らは「協力し合う」というよりは、便宜的に一緒にいるだけという場合が多い。

それで、夫婦でいることの意味合いが薄れてしまった。結婚している人の割合が減ったのもそのためだ。

『ハウス・オブ・カード』の二人は、そこに目をつけた。彼らは、結婚という制度に「戦うために協力し合う同志」という古くて新しい価値観を復活させた。幸運なことに、今のところそういう夫婦は少ないから、これは大きなアドバンテージになるのである。そこで多くの敵を出し抜ける。ほとんどの夫婦は戦うために協力し合えていないから、そこで戦いを優位に進められる。

今のこの競争の時代をどうやって勝ち抜くかを考えたとき、『ハウス・オブ・カード』の二人の生き方は非常に参考になる。ぼくも、こういう夫婦、あるいはファミリーを築いていきたいと強くインスパイアされた。

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岩崎 夏海 作家

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いわさき なつみ / Natsumi Iwasaki

1968年生。東京都日野市出身。 東京芸術大学建築科卒業後、作詞家の秋元康氏に師事。放送作家として『とんねるずのみなさんのおかげです』『ダウンタウンのごっつええ感じ』など、主にバラエティ番組の制作に参加。その後AKB48のプロデュースなどにも携わる。 2009年12月、初めての出版作品となる『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(累計273万部)を著す。近著に自身が代表を務める「部屋を考える会」著『部屋を活かせば人生が変わる』(累計3万部)などがある。

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