スズキが「軽」以外の車種に本腰を入れる理由 「登録車10万台作戦」の勝算はいかに
スズキといえば「アルト」や「ワゴンR」などの代表車種を擁する軽自動車メーカーのイメージが強いだろう。トヨタ自動車系のダイハツ工業とは常に軽自動車市場でトップ争いを繰り広げている。そのスズキがこのところ力点を注いでいるのが軽自動車以外のコンパクトカー登録車だ。
登録車の拡大はスズキの至上命題に
日本国内の新車販売は実に4割近くが軽自動車。ただ、登録車から軽自動車へとダウンサイジングしたユーザーの中には、意外に燃費が伸びず、燃料タンクが小さいがゆえに給油頻度も多い軽自動車に不満を持つユーザーもいる。軽自動車はエコランを意識しなければ排気量が小さくアクセルを踏み込まないと、十分に走らないためだ。実燃費が伸び悩みになる。4人乗りという制約もあり、スズキにしてみれば再び登録車に回帰しようという層を取り込む算段もある。
スズキは現状で年7万~8万台の登録車販売を2019年度に10万台まで引き上げる意欲的な目標を掲げている。今どき登録車で2万~3万台を上乗せするのはかなり難しい。ただ、手応えも感じられる。スズキの登録車にスマッシュヒットが生まれているとともに、ラインナップも着々と広がり好評価を得ている。
スマッシュヒットは、2015年8月に現行4代目に刷新したコンパクトMPV(多目的用途車)「ソリオ」だ。2014年でも3万2857台(月販平均台数約2038台)と登録乗用車販売ランキング23位でヒットモデルと呼べるほど販売は順調だったが、4代目への移行でさらに拡販している。自販連(日本自動車販売協会連合会)統計を参考に独自集計した2015年9月から直近2016年3月までの累計販売台数は2万9559台。月販平均台数は約4200台と2014年のほぼ2倍まで拡大している。
もともとワゴンRの登録車バージョン「ワゴンRワイド」が源となるソリオがいまのような、リアスライドドアを採用するMPVスタイルとなったのは、2010年にデビューした3代目から。そして現行4代目が人気を得ている理由の一つはエンジンとモーターを併用する「マイルドハイブリッド」モデルの採用だ。
3グレードのうち、2グレードに採用されており、現行ソリオの販売の主力を占めている。スズキの販売店へ出向くと、だいたいのセールスマンは「トヨタのハイブリッド車ほど本格的ではありません」と説明するが、それでもハイブリッド車であることには違いがなく、人気の理由になっている。
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