ルノーが復活をもくろむ「往年の名車」の正体 アルピーヌ「ビジョン」は「A110」の再来か
フォルクスワーゲンが、米国人のプロダクトプランナーを起用して開発したのがニュービートルだった。ベストセラーのイメージを現代的に解釈するという、コロンブスの卵的発想で、世界的トレンドのひきがねになった。発売が1998年だったので、その手法は(マーケティング的に?)いまも有効だととらえれている。アルピーヌ・ビジョンはその証明だ。
プロポーションやリアウィンドウはA110を意識させる
厳密にみれば、もちろん、A110とビジョンはまったく違うスタイリングである。でも大きなタイヤとキャビンの関係からくるプロポーションや、リアウィンドウの湾曲ぐあいなど、ひと目みればA110を意識させる。
実際のスタイリングに携わったデザイナーが、この仕事を楽しんだかどうか。僕は寡聞にして知らない。僕だったら楽しそうだなあと思うのだが、もしもデザインに対してストイックな考えを持つ人なら、レトロスペクティブだと嫌がるかもしれない。
以前も触れたことがあると思うけれど、みごとなスタイリングだと思うクルマのモデルチェンジの際、なぜ変えなくはいけないのか、と疑問に思うことがある。その質問をデザイナーにぶつけると、「変えなくては自分たちの存在意義がなくなってしまう」という返事が返ってきた。ある意味、ほんとにそのとおりである。
アルピーヌ・ビジョンを見て、深く考えるほうが、どうかしているのかもしれない。気楽に、登場を楽しみにしているべきだろうか。じつは価格がこなれたスポーツカーデザインはとても難しい。使えるシャシーに制限があったりで、美の公式があるていど決まってしまうからだ。少なくてもいまは、往年のアルピーヌに対する情熱をシェアしようではないか。そして今後に期待をこめて「GO」をあげようと思う。
(文:小川フミオ/モータージャーナリスト)
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