「ソニー、東芝との提携は必然。世界トップを奪還するためだ」−−シャープ社長 片山幹雄

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--堺工場の共同株主となるソニーは、パネル製造原価も知る立場になる。操業度が上がっても、原価ギリギリまでパネルを買いたたかれる心配はありませんか?

当然、ソニーさんは把握できますが、購入価格は論理的に常識の範囲におのずと落ち着くんです。ソニーさんも工場に出資するので、仮にむちゃくちゃな値段で買いたたいたら、ソニーさんにも決算で(持ち分損益を通じて)跳ね返る。難しく考える必要はなくて、いちばん大事なのは、堺工場に本質的なコスト競争力があるかどうか。その点でソニーさんから十分にあると評価していただいた。だからこそ、出資を決断してくれたわけです。

もちろん、堺工場は継続的な投資ができるように適正な利益を確保します。うちには、投資は原則3年で回収するという社内ルールがある。これは堺も同じで、3年での投資回収を目指します。これまでシャープはいくつも液晶工場を造ったが、稼働初年度に赤字を出した工場はありません。当然、堺も初年度から黒字になります。

--今までシャープは自社の液晶テレビ用途でパネル工場の稼働を引っ張ってきました。堺の稼働後は、最終製品のテレビよりもパネルの外販事業に軸足を置くのですか。

それは大きな誤解ですよ。液晶テレビの事業は従来にも増して、しっかりやっていくんです。今後も日本では引き続きトップを、北米も3番以内のポジションを死守する。新興市場も特に成長著しい中国を重点的にやっているところで、十分に手応えを感じている。


 ただし、うちのテレビメーカーとしての実力を考えた場合、目指すべき世界シェアは10%程度だと思うんですよ。ブラウン管時代は弱かった会社なので、世界的な販売網もまだ十分ではありません。欧州でのシェアは今でも2%程度に甘んじている。実力以上に無理してシェアを取ろうとすれば、採算面などで必ず弊害が出てきます。ですから、町田(勝彦)会長がずっと言ってきたように、液晶テレビでは「グローバルテン(シェア10%)」を念頭に事業を展開していくと。

一方で、液晶パネルメーカーとしては、10%程度のシェアでは不十分。液晶パネルは典型的な装置産業ですから、規模の経済がコスト競争力に直結する。理想を言えば、パネルでは30%程度のシェアを取りたい。そうなると、うちのテレビ用だけでは足りなくて、大きな外販先が必要になる。それで東芝さんやソニーさんと組んだんです。

--つまり、今回の工場合弁化は、液晶パネルで世界トップのシェアを取りにいくという宣言だと受け取っていいんですか。

そうです、そういう宣言ですよ。ソニーと東芝、当社の3社の液晶テレビのメーカーシェアを単純合計すると、30%を超えます。テレビ用液晶パネルの分野で、再び世界トップが狙える環境が整う。ですから、当社にとって、東芝さん、ソニーさんと組めたというのは、非常に大きな意義があるんです。

今、液晶テレビの世界上位6社のシェアは6割以上あって、その占有率は上昇傾向にある。つまり、パネルメーカーの経営を考えた場合、そうした有力テレビメーカーを顧客として確保できるかどうかが、今まで以上に重要な意味を持つということ。今後は投資できるパネルメーカーの数もおのずと限られ、台湾のパネルメーカーは得意とするノートパソコン、パソコン用モニターの分野に回帰していくと思う。これからのライバルという点では、やはり韓国勢でしょう。

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