ファミマが日本郵政グループと提携するワケ コンビニ3位脱出へ布石、どうするローソン
店舗数では同規模になっても、日販(1店あたりの1日売上高)ではセブンに10万円超の差をつけられている。その結果、「コンビニ業界は一強多弱」(ファミマの上田準二会長)という構図になっているのが現状だ。
こうした状況を打破すべく、他社との提携を拡大し、独自性を打ち出す戦略に舵を切り始めたというわけだ。
では、実際、今回の2つの提携は本当に効果があるのか。
カギはファミマへのゆうちょATM設置スピード
まず「越境eコマース」サービスはこれからで、どこまで収益化するかは未知数。それでも、「ファミマの特徴は、アジア全域で同一グループによるメイドインジャパンのサービスが展開できること」(正田雅史・野村證券金融研究所・マネージングディレクター)。これは、進出先の財閥と手を組んでアジアのネットワークをひろげるセブンよりも、きめ細かなサービスを展開できる余地が十分ある。
今回の提携でより重要なのは、国内のファミマ店舗における「ゆうちょATM」の導入拡大のほうだ。商品力だけでなく、「nanaco」と「セブン銀行」で圧倒的なカ強さを誇るセブンに対し、「2位、3位グループに足りないのはカードと金融戦略だ」(正田氏)。
ファミマは現在約1万2000のATM網を持つ(うち1万1500が「イーネット」のATM、約500がゆうちょATM)。一方、ゆうちょ銀行のATMは郵便局を中心に全国に約2万7000。両社を単純合計すれば3万8000超のATMネットワークとなり、セブン銀行(2万2472台)を大きく上回る。ファミマが今回、日本郵政グループ傘下のゆうちょ銀と手を組んだのは、この分野の劣勢を挽回するためといえそうだ。
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