ローソン、絶好調の業績によぎる一抹の不安 「成城石井」は好調でも、コンビニ事業は減益

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ローソンの2015年第3四半期の業績は、本業のコンビニ事業は広告宣伝費の積み増しなどもあり、単体では営業減益に沈んだ

本業であるコンビニ事業に何が起きているのか――。

コンビニチェーン大手のローソンは1月13日、2015年3月~11月期(第3四半期)決算を発表した。売上高に相当する営業総収入は4355億円(前年同期比20.2%増)、営業利益は620億円(同3.8%増)と過去最高を達成した。

柱のコンビニ事業の集客は堅調に推移している。第3四半期までの既存店売上高は前年同期比1.6%増で、客数、客単価のいずれもプラスで着地した。2015年5月に発売したナチュラルローソンブランドの「グリーンスムージー」など健康飲料のヒットをはじめ、おにぎりなど定番商品の改廃が奏功した。

収益は支えたのは成城石井やシネコン事業

昨年11月までに約1300万本を売り上げた「グリーンスムージー」

ただ、業績的には営業総収入2516億円(前年同期比3.8%増)だった一方で、営業利益は508億円(同9%減)と前年同期を下回った。

コンビニ事業が減益となった要因は大きく2つある。一つは減価償却費の増加、もう一つはFC加盟店支援のための経費が膨らんだことだ。具体的には、FC加盟店の電力代や廃棄ロスの一部負担に加え、テレビCMの積極投下による販売促進による費用がかさんだ。

コンビニ事業が減益に沈んだにもかかわらず、全体で増益を確保できたのは周辺事業の支えがあったことが大きい。

前2014年度に買収した高級スーパー「成城石井」やシネマコンプレックスを運営する「ユナイテッド・シネマ」は好調だった。

成城石井は健康関連商品やワインの販売が着実に伸びたことで、既存店売上高は前年同期比を超えて推移。直近の2015年12月では前年同月比で4.5%増を記録した。ユナイテッド・シネマも「ジュラシック・ワールド」などのヒットを追い風に、グループ全体の収益を支える格好となった。

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