ミスドとコンビニ、ドーナツの仁義なき経済学

奪い合うのか、それとも広がるのか

左上から時計回りにローソン、ファミリーマート、ミスタードーナツ、セブンイレブンで販売するドーナツ※写真は2014年11月当時のものです(撮影:尾形文繁)

ダスキンが運営する「ミスタードーナツ」の肉まんをめぐる不祥事を覚えているだろうか。食品衛生法で禁じられた食品添加物の使用が発覚したのは2002年5月。それを受けて、ミスドは一時、前年同月比70%弱の売り上げ減を強いられた。

そんな減速もつかの間。当時のミスドは店舗の割引分を本部が負担する格好で、ドーナツの割引販売を加速し、販売は急回復していった。今ではこの事件があったこと自体を覚えていない人が大半だろう。

ミスドの鮮やかな復活劇は、もちろん、その値引きを可能とした経営体力やブランド力、そしてドーナツそのものの味に支えられていたことに間違いない。ただしそれよりも大きかったのは、代替チェーン店の不在だった。

かつてダンキンドーナツがライバルとして存在していた時期はあったものの、1998年に撤退しており、当時のミスドに強力なライバルはほぼ見当たらず。現在、約60店を日本国内に運営するクリスピー・クリーム・ドーナツが日本へ進出したのは、2006年のことだ。ドーナツを欲する消費者が、再びミスドに戻っていくのは自然の流れだった。

その後、ミスドは少子化などの影響もあってか、ドーナツ市場を急拡大できたわけではない。近年は緩やかな減少がありつつも、いくつかのヒット商品に恵まれたことで、ある意味では“無難”にドーナツ界に君臨してきた。現在、国内で1300店強、国内外も合わせると約4200店のネットワークは、ドーナツ専門店としては圧倒的な規模である。

ライバル不在から一転、混戦するドーナツ市場

ところが、ここにきて状況は変わってきている。コンビニエンスストアが本格的な闘いを挑んでいるからだ。それもセブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートのコンビニ3強がそろってである。それだけでなく、6月20日にはドーナツとクロワッサンを組み合わせた「クロナッツ」を販売する米国生まれの「ドミニクアンセル ベーカリー」が東京・表参道にオープン。同じく米国で人気の「ブードゥー・ドーナツ」の日本進出もうわさされているなど、まさに「猫もしゃくしも」と言ってもいいドーナツブームを迎えている。

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