ミスドとコンビニ、ドーナツの仁義なき経済学

奪い合うのか、それとも広がるのか

コンビニ大手がここ数年で販売を強化しており、成果も上がっているのが「セブンカフェ」をはじめとする、入れたてコーヒーの販売だ。2015年には19億杯の販売を見込んでいる。潜在的な消費者を1億人と想定しても、ひとり当たり、実に年19回も購入する計算となる。それだけ売れるモンスター商品があるのに、ほかの商品をセットで提案しないのはもったいない。そこで、狙うのがドーナツの「ついで買い」だ。

もともとコンビニにおけるドーナツのついで買いを提案したのは、スリーエフやデイリーヤマザキ。その後を追って、コンビニ3強で口火を切ったのがセブン-イレブンである。

セブン-イレブンは2014年11月にドーナツの販売を開始。100~130円という低価格かつ、工場から数時間以内に店舗に届けるオペレーションの卓越さもあって、異常な勢いで売り上げを伸ばす。ただちに1店舗あたり100個以上を売る大ヒット商品となり、2015年度(2016年2月期)にはチェーン全体で4億個、その翌2016年度には6億個のドーナツ販売を視野に入れている。

セブン-イレブンは2015年4月までに6000店弱でドーナツ販売を開始、すでにミスドの国内外店舗数を上回っている。さらには全店舗にも拡大していく腹づもりという。

ローソンも、今夏には約8000店舗でドーナツの販売を始める。ローソンではコーヒーを値下げして、さらに多い客数を呼び寄せようとしている。店内で調理するドーナツも販売予定だ。ファミリーマートでも、袋入りのドーナツの種類を増やしていく。ファミリーマート商品は、後追いながら、その品質では先行者を超えようという明確な意思が感じられる。商品外装の洗練や、「ミルクデニッシュ&チョコクッキードーナツ」「デニッシュドーナツ」などで差別化を図る計画だ。

ドーナツ専門店で見れば圧倒的なミスドも、国内で約6万店のコンビニと比べると、ネットワークはやや心もとない。新規参入組はコンビニエンスストアだけではない。ダイエーもイートイン敷地を広げ、そこで店内調理のドーナツを販売する。これはもともと、女性客をコンビニから連れ戻す目的で始めた。そして、その試験導入店では目的を果たしているという。

ターゲットは女性客とシニア層

コーヒーは男性客が中心となって購入する。そのとき、一緒に手に取りやすいのが菓子パン。だからコンビニは、まず菓子パンのプライベートブランド(PB)化から始めた。今、セブン-イレブンでは、菓子パンと言えばプライベートブランド商品が並ぶ。

コンビニのサプライチェーンでは、菓子パンが最も難しい領域だと言われている。鮮度管理、補充、賞味期限切れ商品の管理などが面倒だからだ。その難題をクリアした後に、さらなる客単価向上を狙ってドーナツに取り組むのは必然の流れといえよう。ドーナツの主要なターゲットは、女性客とシニア層だ。

副次効果として、間食需要の開拓もできる。菓子パンは朝食代わりや、残業のお供に食されることも少なくないものの、ドーナツは食事の合間に「何か食べたい」という需要を満たす存在としても重宝する。セブン-イレブンがドーナツの販売を始めてから、コーヒーの販売数量も上がっているようだ。

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