意外と知らない、真田丸に見る「大河の裏側」

「チーム論」そして「ネット戦略」

――地方自治体との協力関係づくりは、地方の町が活性化すると同時に、NHKにとっては、大河ドラマファンづくりにもつながるというわけですね。

東京から発信した情報を、ご当地・上田市がキャッチして地元に広げる、第二のご当地・滋賀県がキャッチして地元に広げる。ご当地がたくさんできればできるほど、地元のネットワークが増え、毛細血管のように緻密に情報が広がります。情報の広がりが点から線になり、面になる。こうやって大河の応援団を増やしていきたいですね。晩秋から登場する、哀川翔さん演じる後藤又兵衛の地元公共団体とも、すでに話を進めています。

野望は、視聴率を上げるというだけではない

――目標はやはり、高視聴率を取ることでしょうか?

4月10日放送回(第14回)からは舞台が大阪に(写真は、寧のもとを訪れた秀吉[第16回放送])

これはカッコつけているわけではなく、視聴率調査はどんどん不確実になってきていると感じます。視聴率って、民放さんが自局時間枠内のCM料金を設定するために出している数字ですよね。私たちは、視聴“率”よりも視聴“実数”が大切だと思っています。そして今、ものすごい視聴実数を実感しています。でもこれは、発表される視聴率とは体感温度に差があります。

理由は2つあります。毎週待ち遠しいほど楽しみにしているドラマが、同じ日の2時間前にBSで放送されていたら、20時まで待ちますか? 私は絶対待ちきれない派です。実際、日曜18時から放送しているBSプレミアムの視聴率は良くて、地上波と合わせると大台に載っているような状況です。

ふたつ目は、やはり録画視聴が多いということです。日曜の20時って、夕飯を食べたり、週明けの支度をしてる時間帯で、“ながら観“せざるを得ない。残念ながら「真田丸」は”ながら観“には適していません。だからドラマをじっくり観たい人は、録画して集中できる時間帯に改めて観ていると思います。

――となると、成果が測りづらいですね。成功したかどうか、どうやって判断するのですか?

以前、「人気大河ベスト10」という視聴者アンケートをとったことがあります。アンケートの締切直前まで「新選組!」が1位でした。最後の最後に「義経」に抜かれてしまったんですが(苦笑)。でも、私たち「新選組!」残党としては、「真田丸」を「心に残る大河」ナンバー1にしたいと思っています。漠とした目標ですけれど、みなさんにとって思い出の大河ドラマになってほしいし、ここから大河ドラマの歴史がいい意味で変わったと言われるようなことがあれば、仕事人としては本望です。

もちろん、視聴率を無視するということではありません。でも、視聴率のことだけ考えていたら、斬新なことや、面白いことにトライはできません。視聴率を上げるための努力よりも、もっと大きな夢を見たいですね。

――「夢」はなんですか?

私は、小学生の時に大河ドラマ「国盗り物語」(1973年)を観て歴史が好きになり、こういう仕事をやってみたいと思いました。念願かなって今の職に就けています。そのような動機で現在に至るスタッフも少なくありません。今の小学生たちが「真田丸」を見て、歴史好きになり、将来それがきっかけでその時代に合った楽しい何かに取り組んでくれたら、すごくうれしい。世代、出身地、言語・文化の壁を超えて、歴代のNHK大河ドラマの中でもっとも心に残る作品になる。そして、次世代の若者たちが、数十年後にそのバトンを受け取り、また、“リレイヤー”になっていく。そんな「夢」のようなことが現実のものとなったなら……。想像するだけで、毎日終電で帰路につく足取りも軽くなります。

――自分が一生懸命やったことが、次世代の目標や夢につながる。どんな人にとっても、一番の醍醐味ですよね。「真田丸」をきっかけに、歴史好きやドラマ好きはもちろん、テレビ好きからテレビ業界を志望する人すら増えるかもしれないですね。これからも、わくわくするようなドラマ本編とさまざまな仕掛けで私たちを魅了してください。ありがとうございました。

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