意外と知らない、真田丸に見る「大河の裏側」 「チーム論」そして「ネット戦略」
――ニコニコ超会議にまで参戦するのですね。
実はニコニコ超会議には、一般の問い合わせフォーマットから問い合わせをしました。本当は大代表に電話して進めたかったのですが、電話番号がオープンになっていなかったので、問い合わせフォームから……。
でも、この正面からのアプローチがこちらのエネルギーを伝えるのにいい方法だと考えています。たまたま電話やメールでやり取りしてくださった方が、事なかれ主義な方だったり、エネルギーの希薄な方だったら、うまくいかないわけです。でも、こちらが熱意を込めて問い合わせをしたら、相手も熱意で返してくれる。そんな仕事の組み立て方は、泥臭いし一見無駄な道筋のようですが、紹介やコネを使うより、本質を突いた正攻法だと私は思っています。
ニコニコ超会議やSNSに目を向けているのも、大河ドラマを毎年楽しみにしてくれる視聴者を増やすには、ゲームから歴史への興味を持ち始める若者をいかに取り込んでいくかが命題になってくると考えているからです。『刀剣乱舞』というゲームの影響で、全国の博物館の刀剣コーナーには、若い女性が群れているという現象を知り、その思いをさらに強くしています。
しかし、ゲームを入り口にして歴史に興味を持った若者が、大河ドラマで描くような歴史物語を、無条件で楽しんでくれるかというと、そこにはまだハードルがあると感じています。
つまりゲームを入口にした若者を、大河ドラマの視聴者にするには、もうワンクッション必要なのではないかと感じています。そのワンクッションが、ソーシャルメディアを活用したアプローチだったり、ニコニコ超会議への参加だったりするのではないかと。
ローカルファン獲得のために
――若い人向けには、細やかなワンクッションとして、ネットを中心にさまざまなトライをしているわけですね。他の世代向けにも、なにか施策をうっているのですか?
世代というよりも、ローカルファンを増やすための地道な“地上戦”を仕掛けています。例えば、地方自治体との協力関係から、いろんなイベントへの参加を通じて、ローカル紙などの取材をお願いし、その記事がWEBで拡散していくことを念頭に置いたPRも積極的に進めています。そういう意味で、大河ドラマのご当地である自治体などとの関係構築には、例年の大河にはない程、前向きに取り組んでいます。
――地方自治体との協力関係と聞くと、前から取り組んでいそうですが、具体的にどんなことですか?
真田家のご当地である、長野県上田市や群馬県沼田市、和歌山県九度山町、大阪府などが盛り上がるのは当然といえば当然です。こういった、主人公に直結したご当地とコミュニケーションを取るのは今までもありました。しかし「真田丸」に出てくるのは真田一族だけではありません。それを取り巻く他の武将たちにも当然ゆかりの地があるわけです。
主人公にとって義父に当たる大谷刑部は福井県敦賀市、大坂の陣で盟友となる後藤又兵衛は兵庫県加西市・姫路市、福岡県嘉麻市、対立する役回りが予想される加藤清正は熊本市ですし、真田家に壮絶な運命を課した関ヶ原の戦いの地である岐阜県など。それらの地域にも第二のご当地として盛り上がってほしいと願いつつ、今、それぞれと協力関係を築いています。
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