意外と知らない、真田丸に見る「大河の裏側」 「チーム論」そして「ネット戦略」

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――スタッフにはどんな方が集まっているのですか。

実は、「真田丸」のプロデューサー陣は、僕も含め5人中4人が、2004年の大河ドラマ「新選組!」に関わっていたんです。脚本の三谷幸喜さんもそうですし、堺雅人さんも山南敬助を演じて下さった「新選組!」メンバー。ディレクターチームにも、技術・美術チームにも大勢「新選組!」出身者がいます。12年かかって、ようやく再結集できたという感じです。

――当時、「新選組!」は、脚本も役者も新鮮で、新しい大河ファンを取りこんだとして非常に話題でしたね。

おかげさまで、たくさんの小中学生から、初めて観た大河ドラマとして評判になりました。今回はその「新選組!」のカラーを引き継いでいるところがあり、特にプロデューサーチームは、制作統括の屋敷陽太郎からして、新しいことをやっていきたいという意識がすごく強い。黙っていてもNHKにチャンネルを合わせてくださる方々だけを対象にするのでなく、黙っていたら観てくれない層に振り向いてもらうにはどうしたらいいかを、積極的に考えて、彼がチームを編成しました。私も彼に呼ばれてメンバーに加わった一人です。

真田丸の「チーム論」

――具体的に、どんなチームなんですか?

制作部に関しては、制作統括の屋敷を筆頭に5人のプロデューサーが中心となって、チームをつくっています。「餅は餅屋」で、それぞれが専門領域を持っています。私は、作品のPR関連やイベント展開を主に担当していますが、そのほかにも脚本やスケジュールなど、各プロデューサーにそれぞれのメインフィールドがあります。5人がアイデアやスキルを持ち寄り、「真田丸」というひとつの大きな船を動かしています。

――船頭多くして、船はうまく前に進むのでしょうか。

大河は一年間の放送なので、ともすると、作ることだけで、いっぱいいっぱいになってしまいます。毎週撮影して、毎週編集し、プレビューしていると、順調に進むこともあれば遅れることもある。そんなルーティンの中で、昨年よりも何かにトライし、大河ドラマの伝統を一歩先に進めるには、プロデューサーチームを厚めにすることが必要不可欠だと個人的には実感しています。特にドラマ制作を取り巻く現状の急激な変化や、WEB関連ツールによる展開、配信システムとの連動、そして年々加速していると言われるテレビ視聴時間数の減少など、わずか数年前と比べても大河ドラマを取り巻く環境は激変しています。もし5人のプロデューサーが3人だったら、欠けた2人分の役割を他の人が兼ねることになります。

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