視聴率伸び悩み 苦戦続くテレビ東京
テレビ東京の苦戦が続いている。親会社の日経新聞社と対照的だ。
在京キー局5局中、最後発の同社は、1964年に財団法人日本科学技術振興財団の科学専門チャンネルとして開局。が、船出から経営は厳しく、開局からわずか5年後、69年には日経新聞の傘下に収まった。その後、一般局へ転換、81年には「テレビ東京」へ社名を変更。2004年には、11年の地デジ完全移行への資金調達等を視野に上場した。歴代の社長や経営幹部は日経出身者が多く、「日経色」が濃いのが特徴だ。
同社が得意とするのは、曰(いわ)く「アニメ、経済、そして“健全な”情報バラエティ番組」。中でも、アニメは「ポケモン」などヒット番組も多く、同社の顔ともいえるコンテンツだ。一方、経済番組「ワールドビジネスサテライト」などは中高年層を中心に支持を得ている。
他局にはない独自色豊かな番組で視聴者を開拓してきたが、視聴率は長らく5位に甘んじたまま。系列局も「テレビ大阪」など全国で6局のみにとどまり、ネットワーク数や収益規模では他のキー局からは大きく見劣りするのが現状だ。
中期計画を大幅下方修正
こうした中、同社は菅谷定彦前社長の号令の下、07年3月期以降、視聴率アップに向けて短期的に減益覚悟で番組制作費を大幅に拡大。視聴率さえ伸びれば収益はおのずから増えると踏んでいたが、結局、視聴率は目標値に届かず、2期連続で営業利益は低空飛行状態となった。
「これからは利益重視にします」。菅谷氏の後任に就いた島田昌幸社長は昨年11月、中間期決算の説明会で突然戦略を一転、09年3月期以降は番組制作費を抑制し、利益を改善する方針を打ち出した。
“迷走”の極め付きは中期経営計画だ。同社が菅谷前社長の下、06年11月に発表した計画では10年3月期に売上高1500億円、営業利益102億円を目指していた。ところが、島田社長に代わって今年2月に発表した中期計画では目標値を大幅に下方修正。新計画では1年後の11年3月期に売上高1320億円、営業利益約37億円と当初計画から大きく後退した。原因はテレビ広告市場の悪化としているが、制作費を積み増せば視聴率も収益も拡大できるというシナリオが楽観的すぎたことは否めない。
今後、テレビ広告市場が伸び悩む中で成長の原動力として有望なのが、映画出資やDVD、イベントなどのライツ(権利)事業だ。中でも、同社が得意とするアニメ番組の海外販売などの強化は欠かせない。さらに、今後はネット事業の収益拡大や新規事業の立ち上げも見込んでおり、こうした事業の「大化け」に期待がかかっている。
■制作費が重く利益は減少傾向
(週刊東洋経済 撮影:梅谷秀司)
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