穀物高の悪夢が再来、身構える食品メーカー


こうした中、加工食品メーカーは「まずは販促費の抑制や量目変更、商品数削減などで対処するしかない」(UBS証券の高木直実アナリスト)。一方、原料価格に左右されにくい商品開発も進めており、たとえばキッコーマンでは「使い勝手がよい容器に入ったしょうゆなど、高付加価値品の強化で対応する」(中野祥三郎常務)。また、業務用マヨネーズ大手のケンコーマヨネーズは油脂量の少ないマヨネーズの生産設備を増強する。健康機能品のニーズ獲得だけでなく、原料の油脂費用を抑えるのが狙いだ。

「秋以降は南米で大豆の増産が行われるなど供給が増え、穀物価格は下落に向かう」(丸紅経済研究所の美甘所長)との見方が強い。ただ「量が確保できても品質が伴わなければ、加工時の歩留まりが悪化する」(日清オイリオの芋川専務)という懸念も残る。

異常気象が常態化する可能性も指摘されている。日本総合研究所の藤井英彦理事によると、「00年以降は異常気象の発生頻度が増えている。今後(穀物の生育に適した)気象条件に改善するとは考えにくい」。需要構造や気候条件が変化する中、中長期的に穀物価格が高値圏で推移する可能性もある。小売価格への転嫁が難しい状況下、食品メーカーにとっては試練が続きそうだ。

(平松さわみ =週刊東洋経済2012年9月15日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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