穀物高の悪夢が再来、身構える食品メーカー

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国内メーカーにも影響じわり

穀物高に身構えるのが、国内の食品メーカーだ。穀物需給の問題に詳しいコンチネンタルライスの茅野信行氏は「今年度後半から来年度にかけ、タイムラグを伴ってさまざまな食品に影響が及ぶ」と話す。まずは食用油に始まり、マヨネーズなど油脂量の多い加工品、トウモロコシや大豆を原料とする飼料価格高騰によって食肉へと広がるとみられる。

冒頭のとおり、製油業界にはすでに影響が及んでいる。また、自社農場を保有する食肉大手は「生産の回転が速い鶏肉では一部が今年度中に、豚肉は来年度中心に飼料高の影響が出てくる」と話す。

一方、小麦は政府が商社に委託して一元的に買い上げ、直近6カ月の買い付け価格の平均値を参考に、製粉業者などへの売渡価格を決定する「国家貿易」の枠組みで流通している。売渡価格の改定は毎年4月、10月の2回のみ行われるため、相場変動の影響はほかの穀物より遅れて表れる。政府は8月末に、10月からの売渡価格を平均3%引き上げると発表。小麦価格の高水準が続けば、来年4月の売渡価格が大幅に引き上げられる可能性もある。

ただ、国内では食品の低価格化が進み、容易に小売価格に転嫁できないのが現状だ。比較的転嫁しやすいとされる油脂メーカーでも「相場の上昇分を完全に上乗せすることは難しい」(日清オイリオグループの芋川文男専務)と漏らす。

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