穀物高の悪夢が再来、身構える食品メーカー


需要構造の変化も

過去にも、07年から08年にかけて穀物価格は暴騰している。06年の豪州干ばつに加え、「新興国での需要が急増することを見込み、穀物だけでなく原油、銅、石炭などの資源価格も連動して高騰した」(丸紅経済研究所の美甘哲秀所長)ことが大きい。そのときに流入した投機マネーはリーマンショックを機に引き揚げ、09年には相場は反落。ただ08年以前の水準までは下がり切っていない。穀物需給の構造が変化しつつあるためだ。

その主な理由は二つある。一つは新興国での食料需要の拡大だ。たとえば中国では生活水準の向上に伴い食肉や乳製品、油脂の消費量が増加。飼料や油脂の原料となるトウモロコシ、大豆の輸入量が急増し、中国の大豆輸入量は10年間で5倍増の約5200万トンに到達した。トウモロコシも09年に輸出から輸入に転じ、近い将来には日本を抜いて世界最大の輸入国になるとみられている。

トウモロコシの場合、これに加えて米国が05年以降バイオエタノール政策を本格化したことの影響も大きい。現在では米国でのトウモロコシ生産量の約4割がバイオエタノール用に回されている。

今回はこうした構造変化に異常気象が重なり、穀物価格が一気に上昇した。12年の穀物収穫量の見込みは過去と比べれば高水準だが、消費拡大に伴い、穀物全体の期末在庫率は低下している。

11年度の在庫率は20・5%にまで下がり、国連食糧農業機関(FAO)が安全な在庫水準の最低ラインとする17~18%に近づきつつある。今回の穀物高騰は「食糧の逼迫が現実のものとして認識され、危機感が高まった結果」と、SMBC日興証券の沖平吉康シニアアナリストは指摘する。

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