【キーマンズ・インタビュー】育児休職からの復職者と上司のペアワーク研修による意識改革--石原敏彦・富士電機 執行役員人事・総務室長に聞く
--ペアワーク研修によって、育児を抱える従業員のリテンションは成功しましたか?
ペアワーク研修によるリテンション効果は明らかだ。育児休職する年間約150名のうち、育児休職期間満了後に辞めた人は、2011年度は0名。ただ、復職した人の全員が、ペアワーク研修を受けているわけではない。参加しない理由は、研修実施時期と業務スケジュールが合わないことが多い。ペアワーク研修は順繰りに実施しているので、工夫してより参加者数を増やしていきたい。
その他の女性に関わる人事施策の課題としては、女性幹部社員数の拡大がある。富士電機の人事制度は、入社後に企画職�、企画職�、企画職�というステップを踏んで、幹部職のビジネスリーダー職になる。しかしビジネスリーダー職以上の女性は、現在わずか32名。部長は1人しかいない。
経営の方針として女性幹部を増やそうとしているが、部長にするにはその下の課長が必要であり、課長にするにはその下の人材が必要だ。人材の育成には時間がかかる。
--「やりたい仕事調査」も興味深い制度です。紹介していただけますか?
富士電機は、全社的な事業構造改革に取り組んでおり、その一環として2010年5月に行ったのが「やりたい仕事調査」だ。労働組合は2年に一度「意識調査」を行っているが、対象は組合員だ。「やりたい仕事調査」は、幹部を含めて1万4281名に対しアンケートを行い、94%の1万3480名から回答を得た。
やりたい仕事に就く方が、会社としての業績も、本人のモチベーションも上がるだろうという趣旨で実施した。意識を聞くだけでなく、それをテコに動かすのが狙いだ。
結果は、現在の仕事に満足している人が85%と多かった。満足していない人が15%、異動を希望する人が13%の1785名いた。その1785名のうち、いま異動したいと希望する人は472名いたので、職務経歴書を提出してもらい、異動先と面接を行って異動を決めていった。