【キーマンズ・インタビュー】育児休職からの復職者と上司のペアワーク研修による意識改革--石原敏彦・富士電機 執行役員人事・総務室長に聞く
正確に言えば、上司側は部下とのコミュニケーションが十分できていると考えているが、部下側は上司とのコミュニケーションが不足していると感じていた。このコミュニケーション・ギャップを埋めることが、復職者への支援になる。
そこで、上司と部下のコミュニケーション不足を改善し、双方の考えを共有することを目的としたペアワーク研修を実施した。
--どのような形態で実施しているのでしょうか? また内容はどんなものでしょうか?
ペアワーク研修は、2009年4月からの3年間で23回、176名が参加者した。育児休職からの復職者と直属上司がペアになるので、88ペアの参加者といった方がわかりやすいかもしれない。平均すると1年に8回程度のペースで、一月半ごとに開催されている計算だ。1回の参加者は4ペア程度になる。
時間は午後の3時間。復職者は保育所に子どもを迎えに行くので、就業時間短縮制度の4時半に終了する。
内容は3つで構成されている。まず部下グループと上司グループに分かれ、それぞれがグループディスカッションを行う。復職者を受け入れる上司同士、復職者同士が話し合う。研修以前はそれぞれが孤立した状態だったが、このグループディスカッションによって、同じ立場、同じ悩みを持つ者と話すことができる。
続いて、人事が独自に作成したDVDを視聴してもらう。育児休職からの復職者と上司が実際の体験を語る内容だ。最後に上司と部下がペアワークを行う。話し合いを通じ、今後の行動宣言をまとめる。内容は、いいところを言い合うポジティブなものが多い。