【キーマンズ・インタビュー】育児休職からの復職者と上司のペアワーク研修による意識改革--石原敏彦・富士電機 執行役員人事・総務室長に聞く
--どのような効果がありましたか?
上司と復職者の双方の不安を解消することができたことが、大きな成果と評価している。
不安の中身として、まず育児休職者は、最長で3年間職場から離れる。3年間は長い。時には育児休職期間中に上司が替わることもある。そして職場の仕事と切り離され離れ、会社と疎遠になる。
この対策として現在は「wiwiw(ウィウィ)」というWebサービスを休職者に提供しており、休職中も職場の情報を発信してコミュニケーションを取れるようにしているが、それでも復職時に不安はあるだろう。
上司も不安を持っている。女性従業員が少ないから、女性の部下を持ったことのない上司もいる。結婚して共働きの妻がいれば、働く女性の育児に対する理解があるだろうが、そうでない男性上司は育児からの復職者を部下に持つのははじめての経験であり、どう接していいのかに迷う。不安があるわけだ。
ペアワーク研修によって、その不安が解消される。キャリアプランについて上司と部下が話し合い、経験者の話を聞くことで双方の不安が解消される。お互いの状況・価値観を理解し合い、共有することで、部下の希望と上司の期待が合致する。キャリア目標を策定し、行動宣言としてまとめることで、部下の仕事と生活の充実を図ることができる。復職者のモチベーションが向上し、経営に対する貢献も大きい。
もうひとつ大きな成果は、同じ境遇にある上司や部下のネットワークが形成されたことだ。社内人脈は業務経験によって形成されることが多いが、ペアワーク研修で他部署の育児からの復職者同士のネットワーク、復職者を持つ上司同士のネットワークが形成された。