待機児童緊急対策、なぜこうも的外れなのか 選挙対策になってしまっている不幸

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緊急対策の対象となるのは「平成27(2015)年4月1日現在の待機児童数が50人以上いる114市区町村及び待機児童を解消するために受け皿拡大に積極的に取り組んでいる市区町村」である。

厚生労働省は待機児童を4万5315人としているが…(写真:イッシー/PIXTA)

しかし、そもそも「待機児童」の数がきちんと把握されていないという問題がある。

厚生労働省は緊急対策と同時に「平成27年4月の保育園等の待機児童数とその後(平成27年10月時点)の状況について」を公表し、同年4月では2万3167人だった待機児童数が10月には2万2148人増加して4万5315人となっていることを明らかにした。

待機児童数が増える原因は、年度途中は保育園の受け入れが少ないためだ。さらにこの時期に増加が著しいのは0歳児(1万6320人)で、これは4月入園の申し込み期間以降に誕生した子どもたちが待機児童にならざるをえない現状を示しているといえる。

6万人の「隠れ待機児童」が存在している

ところが、この4万5315人という数字も、待機児童の実態を正確に写し取ったものではない。実は国は、以下の場合を待機児童に含めていなかったのだ。

① 自治体が関与し、一定の質の確保された保育サービス(地方単独事業)を利用する場合
②特定の保育園等を希望している場合
③求職活動を休止している場合
④親が育児休業中の場合
⑤認可化以降運営費支援事業等を利用している場合

 

①が1万7047人、②が3万2106人、③が4896人、④が5334人、⑤が825人となり、合計で6万0208人にのぼる。これが「隠れ待機児童」だ。この数字を合わせると、実に国が把握している数よりはるかに多い10万人を超える待機児童が存在していることになる。

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