「保育園落ちた」ブログで日本は変わるのか 待機児童問題に取り組む、駒崎氏からの提言

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
予算や自治体など、待機児童問題には数々の課題があると力説する、フローレンスの駒崎氏
「保育園落ちた日本死ね!」という、はてな匿名ダイアリーに掲載されたブログが現在、全国的な議論を巻き起こしている。
「何なんだよ日本。一億総活躍社会じゃねーのかよ。昨日見事に保育園落ちたわ。どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか。」(原文ママ)。
2月15日、一人の母親が書いたとされる内容がアップされた後、ツイッターで拡散し、それをテレビが取り上げた。29日の衆議院予算委員会では安倍晋三首相が答弁に立ったが、ブログについて「匿名だから確認しようがない」と発言。同様に子どもを抱えながら“保活”に悩む母親たちからひんしゅくを買ったのだ。
今も2.3万人いる待機児童だが、どうすれば解消できるのか。この問題に取り組み、自身も小規模認可保育所を運営する、認定NPO法人フローレンスの駒崎弘樹代表理事に聞いた。

リソース不足。カネが足りない

──国会では安倍首相の発言だけでなく、「出典を示せ」など与党席からの議員のやじも、大いに反感を買った。

あのやじは最低ですね。

自分こそ匿名でやじを飛ばしている。これはブログを書いた人だけに関係するのでなく、同じように保育園に入れず、保活で苦労しているみんなの共感を呼んでいます。

1億総活躍というなら、本来ならば、いの一番に取り上げなければならない問題です。首相が本気でやれば、すぐに解決できるんですよ。

──待機児童問題は保育士や保育所の不足など、いくつかの背景があると指摘される。何が根本的な原因か。

「リソース不足」。もうこれに尽きます。対GDP(国内総生産)で、子育て支援などにカネを投じている比率は、フランスの3分の1で、北欧諸国の4分の1です。国の規模に比べて、投じるカネの量が圧倒的に少ない。

たとえば保育士の場合、給与が全国平均で月20.7万円。全産業平均より10万円も少ないんです。だから保育士の資格を持っていても働かない。これを月1万円でも上げれば340億円、10万円上げても3400億円です。

高齢者に(3万円の臨時給付金を)バラまくくらいならとも思います。年金や医療には10兆円単位の予算が充てられている。2015年4月に子ども・子育て支援新制度が始まり、7000億円増えましたが、まだ足りず、1兆円はないと厳しい。

次ページ地方自治体がボトルネック
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事