「保育園落ちた」ブログで日本は変わるのか 待機児童問題に取り組む、駒崎氏からの提言

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──保育所への民間参入など、規制緩和は進んだように見える。何がハードルか。

ボトルネックは地方自治体でしょう。何カ所作るというのは、自治体が決めているんです。保育所が認可を得るには、すべての権限を持つ自治体にお伺いを立て、自治体が審査して選びます。保育士は補助金が出れば変わりますが、保育所は自治体そのものがハードルになってきます。

自治体は動くのが遅い。国の規制にさらに上乗せで規制しています。保育所の場合、東京のある区では小規模保育所の園長の基準に、6年継続して保育業務で働いた経験が必要、などの条件がつく。これでは産休も取れない。「質を高める」という名目で、無意味に規制し、保育所を作りづらくしているわけです。

小学校に入るのに活動はしない

働く母親の増加で待機児童問題は深刻な問題となっている(写真と本文は関係ありません)

──なぜ自治体は市民が困る規制を作るのか。選挙で選ばれた市長もいるのに。

過剰なまでのコンプライアンス(法令遵守)じゃないでしょうか。もし何か事故などが起こったら、責任を取るのは役人ですから。だからリスクをゼロにして、いちばん危なげないよう、とりあえず厳しい基準を作る。思考が停止してます。

横浜市では市長が積極的に動いて待機児童を一部減らしたし、豊島区では小規模保育所の設立に熱心でした。ただ、ほとんどのトップはそこまで細かい規制があるのを知らないし、役人から情報が上がらない。だからわれわれが「おかしい」と騒ぐ必要がある。

──匿名ブログには、「地方に引っ越せば」「ゼロ歳児のときから動けば」など、保活の仕方への批判もある。

まったく愚かな考えです。

確かにこれは都市部の問題で、低年齢児に限った問題です。だがそもそも保育所に入れない状況がおかしい。小学校に入るのに活動しますか。保育所(保育園)とは、児童福祉法に定められた児童福祉施設で、われわれは税金を納めているのですよ。

お恵みではない。保育を受ける権利をみんなが行使できることが前提であり、できてないのは国や自治体の責任。それなのになぜ引っ越さなければならないのですか。

この問題を本当に解決するには、選挙に行って、投票で声を届けること。選挙以外でも電話や手紙で発信すれば、議員が見るし、議員が見なくても秘書が見る。子どもに予算をつけるのは、消費でなく(未来への)投資です。将来的に社会に返ってくることをわかってほしい。

                        (撮影:今井康一)

「週刊東洋経済」2016年3月19日号<14日発売>「核心リポート04」を転載)

大野 和幸 東洋経済 記者

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おおの かずゆき / Kazuyuki Ohno

ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。資産運用や相続、年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。大野和幸(X)

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