09年夏の北米興行ランキングから見えてくる“ドル箱映画の方程式”《ハリウッド・フィルムスクール研修記6》
表には掲載していない20位以下の作品で、50億~100億円程度の製作費分さえ北米で全く回収できなかった“国内スター映画”が複数あります(スタジオは製作費以外にも莫大な広告宣伝費や、馬鹿にならない上映用フィルムプリント費がかかっています。予算にもよりますが、製作費の2倍稼がなければビジネスになりません)。
これから日本で公開される作品もありますので具体名を出すのは控えますが、スターを売りにしつつも、海外での知名度が低いため厳しい戦いを迫られることになるでしょう。
2009年版・成功の方程式とは
こうして今年のヒット映画を振り返ると、上位作品のほとんどは以上の5つの要素のうち最低2つを兼ね備えていることが分かります。
鉄板と言える組み合わせは、「ビジュアル系」+「作品知名度」。『トランスフォーマ』『ハリー・ポッター』『アイス・エイジ』『X-MEN』『ターミネーター』『GIジョー』が当てはまります。『スタートレック』はこの2つに加え、「評判」も高かったことで(IMDB評価で8.4点)昔からのファン以外の若者層も取り込むことに成功しました。
「作品知名度」+「スター」で成功したのは『天使と悪魔』。『ナイトミュージアム』は主演のベン・スティーラーの国際的な知名度はやや劣るものの、子供が楽しめるビジュアル要素も入れ込み海外でもヒットしました。
「ロマンティックコメディ」+「スター」も定番の組み合わせ。『あなたは私の婿になる』『男と女の不都合な真実』など、批評家好みの映画ではありませんが、こちらで一緒に暮らしている私の妻はどちらも一人で見に行って大満足して帰ってきていました。周囲の観客も一様に幸せそうに劇場を出て行ったそうです。
逆にランキング外には、スター依存型で他の特徴に乏しい作品や、上記にあげた5つの特徴のどれにも当てはまらない作品が増えてきます。