09年夏の北米興行ランキングから見えてくる“ドル箱映画の方程式”《ハリウッド・フィルムスクール研修記6》

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 「近年のハリウッド映画はシリーズ物ばかり」「映像の派手さに頼るだけでストーリーが軽視されている」という指摘がよくなされます。これはまさに当てはまっているどころか、むしろこの夏の潮流はその2つの掛け合わせ。今後、この方向性をさらに助長させそうな結果となっています。

アメリカ人にとっての映画とは

夏休みの課題をきっかけに、これまで以上に映画館に通い、周囲とも映画の話を積極的にするようになって痛感したのは、アメリカ人にとっての映画という娯楽の位置付けです。

驚かされるのは、普通の社会人たちが「今週末に公開される作品」を詳しく把握していること。週末が近づくと「今週はどの作品を観に行くの?」という話題になり、週明けには「How was your weekend?(先週末どうだった?)」という枕詞からそれぞれが見てきた映画談議が始まります。これは決してフィルムスクールだけの話ではなく、銀行勤務の知り合いの談です。

作品の公開初日は映画産業のおひざ元・ロサンゼルス特有の現象かもしれませんが、一種独特な「全員が批評家」的な雰囲気があります。明らかに業界関係者という雰囲気の観客も多く、上映終了後には「あの美術監督は俺の知り合いだけど、今回はイマイチだった」といった会話もしばしば耳にします。この“批評家”たちがインターネットで積極的に書き込みをし、週明けの職場で演説をぶつわけです。

日本では、邦画・洋画の逆転といったニュースや、スクリーン数の増加があるにもかかわらず、業界全体の興行収入はここ数年横ばいで成長していません(→参考)。映画ビジネスを学ぶものとして、いまだ成長を続けるアメリカでの「映画と人のかかわり」を肌で感じられたのは貴重な体験でした。

映画ビジネスを学ぶものとして、一本の作品を作ることと並行して、どうやって市場自体を広げていくのかにも目を向けていきたいと思います。


木野下 有市 (きのした・ゆういち)
 1980 年生まれ。慶応義塾大学総合政策学部卒業後、広告会社にて大手飲料・製薬メーカーの広告キャンペーン等を担当。2008 年8 月よりアメリカン・フィルム・インスティテュート(AFI/米国映画協会)大学院にて映画プロデュースを専攻。ギャガ会長・東京国際映画祭チェアマン依田巽氏の寄付で設立されたAFIの奨学金を受け、芸術学修士の取得を目指して勉強中。

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