【産業天気図・工作機械】受注低迷止まらず。一部メーカーは来期続落懸念が濃厚に

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  09年10月~10年3月    10年4月~9月

 受注が未曾有の急落を見せた工作機械業界は、2009年度後半から10年度前半にかけても「土砂降り」の厳しい環境が続きそうだ。
 
 業界団体・日本工作機械工業会によると、昨年6月から始まった内外受注の前年同月比マイナスは10月の40%減を機に一気に加速。「蒸発」とも評された劇的な受注減は、その後09年1月の内外計190億円(84.1%減)を底に前月比では緩やかな持ち直し傾向を示していたが、足元の7月と8月はそれぞれ前月比1.8%減の343億円、7.4%減の318億円で2カ月連続マイナス。8月は前年同月比でも71.5%減と15カ月連続のマイナスが続いた。
 
 8月受注を内外需別で見ると、内需が128億円で前月比11.3%減、前年同月比72.5%減。外需は190億円で前月比4.6%減、前年同月比70.8%減。ともに前年を大きく割り込んだが、特に内需が弱い一方、アジアが中国を軸に117億円(前月比29.4%増)と10カ月ぶりに100億円台に乗せた影響もあり、外需比率は約6割に達した。欧米は相変わらず振るわなかった。
 
 8月は顧客の夏休みといった季節要因があるため、日工会は「上期末の9月の受注動向が注目される」と期待。業界大手役員も「9月末に向けて営業にハッパをかけている」(大手役員)と意気込むが、「実は今もキャンセルや延期が散見される」(中堅メーカー役員)との声も。実際、大手顧客のトヨタ自動車が300万台超の余剰生産能力を抱えているなどユーザー側は増産投資に及び腰どころか、ダウンサイジングの機運も高まっており、10月~10年3月期(下期)に受注が急回復する好材料は現状見当たらない。
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