今までこの種の相談がなかったのが不思議なほど、伴侶を亡くした親、または義理の親の再婚問題で悩む子ども世代は、私の周囲でも少なくありません。ところで曇心さんは、死後の世界を信じますか?
私の友人で、「死ねば炭酸カルシウム等が残るだけ」とさばさばという人がいます。とても合理的に物事を考える人で葬儀、お墓、法事などは一切しません。だからといって薄情というのではありません。彼女の追憶話には折に触れ忍び、変わらぬ敬愛を抱き続け懐かしむ人が、たくさん登場するからです。
亡くなった人に縛られない生き方をしよう
故人が安らかに眠れるようになどという理由で、伝統的な供養の形式にこだわり生きた人が右往左往したり親族が揉めたりするのは、この友人にかかれば論外です。形式に振り回されず、人それぞれ納得する形で故人を忍べばよいという考え方です。供養の形式やお墓のお守りの仕方まで、「たたり」とからめて事細かく説く人からは罰当たりだと非難されそうですが、この友人は長年、その罰当たりとは最も無縁な世界で生きてきた人だと、私は証言できます。
前置きが長くなりましたが曇心さん、上記の私の友人のような考え方をする人もいるのです。義父の再婚と義母がかわいそう過ぎるという問題とはいったん、切り離して考えることをお勧めします。
あなたの義父はまだ60歳前後で、今の平均寿命からみれば人生はこれからです。義父が再婚したくなる人との出会いが義母の3回忌以降なら許せて、それより前なら許せないというのでは、義父が気の毒です。人の出会いはそんな都合までは考えてくれてはいません。
ただ義父のほうで、入籍はもっと後にという方法もあったわけですが、そうするには年齢が待ってくれないという事情もあったかもしれません。
同じく60代で妻を亡くした私の友人である若狭氏の場合は、やはり1年も経たずに、親しい同年代の彼女を息子たちに紹介しました。別に入籍するとか同居するというのでもないのですが、2人の息子は父親の交際自体に猛反対しました。父親ととても仲がよく、一家の精神的大黒柱だった母親が亡くなってまだ1年であることや、ただの交際といえど再婚に発展する“危惧”を抱いたようでした。相続問題も絡んだことでしょう。
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