優柔不断のように見える文雄さんだが、女性との接し方に関してはスマートである。最大の成功ポイントは「自分に関心がある女性にアプローチする」ことだろう。絵里子さんのほうから「感じのいいメール」が来るのを待ったうえで行動を起こしているのだ。
モテ男は玉砕覚悟のアタックはしない
筆者を含めたモテにくい男女はまったく逆のことをする。「たぶん自分に関心はない」もしくは「まだまだ遊びたいので真剣に付き合うつもりはない」人になぜか魅力を感じて、労多くして功少ない戦を仕掛けてしまう。勝率などを考えることはない。突進あるのみ。恋愛に対して純粋だと言えないこともないが、見方を変えると相手の気持ちを考慮しない身勝手な人間なのだ。下手をするとストーカーになってしまう。
文雄さんは違う。玉砕覚悟の恋愛などはしない。同棲していた元恋人との別れを反省材料にして、結婚前提に付き合える女性を探していたのだ。
「その合コンは、友人の結婚式で司会を一緒にやった看護師さんにお願いして開いてもらいました。そういうつながりであれば変な遊び人が来る可能性は低いですからね。ヨメ(絵里子さん)は専門学校を出てからすぐに働いているので、当時24歳でしたけれど考え方がしっかりしていました。若いからすぐにやらせてくれる、みたいな女性ではありません。人として尊敬しています」
文雄さんと絵里子さんが付き合い始めたのは2012年。2人はすぐに婚約をしたが、2つの高い壁が立ちふさがっていた。両方に共通するのは、絵里子さんの親族は九州の田舎に集まっており結束が極めて固いことだ。絵里子さんは病床の祖母を自分が看取ることを決めていた。
「そのために看護師になったようなものだと聞いて、僕も遠距離恋愛を覚悟しました。彼女は本当に病院を辞めて実家に戻り、おばあさんが亡くなるまでの2年間を一緒に過ごしたんです」
絵里子さんが東京に戻ってきたのは2014年の春。ようやく結婚できるのかと思ったが、もうひとつの壁に挑戦しなければならない。長女の絵里子さんは家を継ぐことを期待されていて、九州の人間ではない文雄さんとの結婚は両親から強い反対を受けたのだ。
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