大手IT企業で正社員として働いている小林文雄さん(仮名、37歳)は典型例である。3年間も同棲していた同い年かつ同じ業界の恋人と別れ、昨年末に9歳年下のかわいい看護師である絵里子さん(仮名、28歳)と結婚した。文雄さんは上記の「あいまいかつ狭いターゲット」を攻略したともいえる。ただし、結婚するまでには2つの壁があったらしい。
タレントのケイン・コスギを醤油顔にしたような颯爽とした風貌の文雄さんだが、なぜか声が小さくて何を言いたいのかわかりにくいことが多い。照れ屋なのかもしれない。誰とでも会話が弾むタイプではないが、人懐っこいところがあり、独身時代はいわゆる女遊びも盛んなほうだった。美人姉妹が切り盛りする新橋の小料理屋に誘い、話を聞くことにした。
震災直後のプロポーズで砕け散る
「3年間同棲していた同い年の彼女と別れたのは東日本大震災のあった2011年の秋でした。震災直後にプロポーズしたのですが断られてしまったんです。待たせすぎたのかもしれませんし、途中で僕が浮気をしてしまったことが原因だったのかもしれません。気立てのいい女性でした。彼女の信頼を裏切ってしまったんです……」
新婚なのになぜか暗い調子になる文雄さん。筆者も経験があるが、別れてから半年後ぐらいに腰が抜けるような寂しさや後悔を感じる恋愛がある。文雄さんの場合は、そのタイミングで衝撃的な噂を聞いてしまった。
「翌年の春には、彼女は別の男性と結婚をしていたんです。しかも、すでに妊娠中。思わず逆算してしまいました。僕との同棲中に出会っていた可能性が高いですよね。こういうのってショックを受けます」
自分は浮気していたけれど彼女の浮気は許せない、認めたくない――。自分がいま独身で、元恋人と寄りを戻したいのであれば理解できる心情だが、文雄さんはすでに幸せな結婚をしている。元恋人のことは「自分とは遠いところで勝手に暮らしていてほしい」と思えばいいのではないか。
常にちょっとウジウジしている文雄さん。そんなところが女性の心をくすぐるのだろうか。同棲を解消した直後の冬に、現在の妻である絵里子さんと合コンで出会い、年内には付き合い始めた。
「男3、女5の合コンでした。男が少なかったので必死で盛り上げましたよ。最初は口説いたりする余裕はありませんでした。3軒目でようやく酔いが回って、連絡先を交換できた記憶があります。彼女のほうからメールが来たので脈があるなと判断したんです。クリスマスにプレゼントを渡して、4回目のデートで告白して付き合い始めました」
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