ケータイから始まる出版革命、アメリカの先を行く日本の電子書籍《アマゾンの正体》



描き下ろし作品も紙ではなく電子書店で

電子コミックの現状について、売り手である電子書店側はどう見ているのだろうか。

「ビジネス開始当初は少年漫画主体の品ぞろえだった。BL、TLがここまで人気になるとは、正直言って想定外」と、「Handyコミック」を運営するビットウェイの淡野正取締役が当時を振り返る。

同社はケータイコミックを配信する電子書店のパイオニア的存在である。画面が大きいパソコン向けコミックでは、紙の漫画を見開きにしたのと同じ状態で読めるが、ケータイ向けでは難しい。そこで、ひとコマずつ切り取って、小さい画面でコマ送りして見せている。中にはセリフの文字を大きくしたり、カラー化したりすることもある。BL、TLでは露骨な性描写はトリミングするなどして「成人向け」にならないような工夫を施しているという。

一方で、ケータイのコマ割りを是とせず、あくまで紙の本と同じ体裁にこだわる企業もある。イーブックイニシアティブジャパンは00年の設立以来、一貫してパソコンでの配信にこだわる。「漫画をコマごとにバラバラにしたら本ではなくなる。社名のとおりあくまでブックにこだわる」と鈴木雄介社長は言い切る。

同社も売れ筋の9割はコミックスだが、人気ランキング上位を占めるのは『頭文字(イニシャル)D』『三国志』といった名作が中心だ。BL、TLも散見されるがケータイほどではない。「市場の売れ筋を伸ばそうという方針は取らない。私たちが絶対読んでほしいと思う本をどんどん電子化していく」と鈴木社長は言う。

ケータイ、パソコンの両方を手掛けるパピレスは12万冊のラインナップを誇る電子書籍の最大手。市場のトレンドに合わせてコミックスのラインナップも増やしているが、「タイトル数では小説・実用書などの“文字モノ”が多い」(松井康子副社長)。NHK語学テキストなども人気で、英文音声再生や辞書機能など、デジタルならではの機能が支持されているという。

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