ケータイから始まる出版革命、アメリカの先を行く日本の電子書籍《アマゾンの正体》


 「キンドル」の大ヒットにより米国の電子書籍コンテンツ市場が急成長中だ。だが、現時点では日本のほうがはるかに先を行っている。全米出版社協会の調査によれば、2008年の米国の電子書籍市場規模はわずか1億1300万ドルにすぎない。それに対し、同じ年の日本の市場規模は464億円(インプレスR&D調べ)。日本のほうが、4倍も市場規模が大きい。

さらにいえば、この数字は有料電子書籍の売り上げの合計であり、『恋空』をはじめとしたケータイ小説を世に送り出した「魔法のiらんど」などの無料サイトは、いくら閲覧されても市場規模に含まれない。そう考えると、日本の電子書籍市場は実は数字以上に規模が大きいのだ。

日本の電子書籍市場は02年にはわずか10億円にすぎなかった。当時はパソコン向けのみだったが、03年に携帯電話に定額パケット料金を導入されたことを契機に、ケータイ向けの電子書籍が急速に売れ始めた。今やほとんど横ばい状態のパソコン向けを横目に、電子書籍といえばケータイ向けというのが日本の状況だ。

では、どんなコンテンツが読まれているのか。08年の市場規模の内訳を見ると、パソコン向けではコミックス33%、文芸書39%、写真集28%とほぼ同じ割合になっているのに対して、ケータイはコミックスが82%と大半を占める。電子書籍市場の大半がケータイであることを考えると、日本の電子書籍市場を支えているのが、実はケータイコミックであることは間違いない。

一言でコミックスといっても、そのジャンルはスポーツ、恋愛など多岐にわたるが、ケータイで人気のジャンルは単行本とはやや異なる。インターネットメディア総合研究所客員研究員の高木利弘氏によれば、ケータイコミックの人気ジャンルは「ボーイズラブ(BL)、ティーンズラブ(TL)といった特定ジャンルが多い」という。

BLとは美少年同士の同性愛を題材にした漫画、TLとは性的表現の多い少女漫画のことであり、どちらも女性が主要な読者層とみられる。携帯端末という利便性を生かして、「夜寝る前に布団の中で読む」(高木氏)といった読まれ方がされているようだ。

電子書籍市場がBL、TL人気に支えられている状況に保守的な考え方の持ち主は眉をひそめるかもしれないが、「ビデオもゲームもパソコンも最初はアダルトが牽引して、その後市場が広がった。この流れは電子書籍も同じ」と高木氏は予想する。

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