ダイバーシティって何?(第2回)--ダイバーシティの歴史的展開と企業のかかわり

ダイバーシティって何?(第2回)--ダイバーシティの歴史的展開と企業のかかわり

ダイバーシティの歴史はアメリカから始まります。1964年の公民権法の成立により人種差別撤廃やマイノリティへの機会平等化が徹底され、雇用面でも機会均等、アファーマティブアクション(積極的差別是正措置)の義務付けが進みました。

しかし、企業は必ずしも積極的に取り組んでいたわけではなく、訴訟に対する防御という側面が強かったようです。人種差別の裁判で多額の損害賠償を防ぐため、まずは従来のマイノリティを組織に受け入れたというのが実態だったと思います。

80年代になり、人種や性別、価値観などの「違い」に価値を置くという考え方が生まれてきます。これが「ダイバーシティ」の始まりです。60~70年代の企業の人事政策や教育の場におけるアファーマティブアクションにより、マイノリティが経済的な力をつけたことがこの背景にあったのではないかと私は思います。

マイノリティの経済力拡大により、消費財の分野で、彼ら向けの商品開発やマーケティング・コミュニケーションの方法が生まれました。ここで成功した企業がマーケティングにダイバーシティの考え方を取り入れていったのです。

その後、ダイバーシティが経営戦略の考え方に影響するようになりました。その発端は87年にアメリカのハドソン・インスティチュートから発表された「Workforce 2000」という21世紀のアメリカの労働力人口構成予測に関するリポートです。

このリポートでは、アメリカの労働力の15年間の変化を予測しました。そこに記された下記の2点が、ダイバーシティ・マネジメントへの企業の取り組みを加速させる要因となりました。

1.今後、急速に労働力が高齢化・女性化していく
2.これまで労働力人口の中心を占めていた白人男性の割合が、新規参入者で見ると47%から15%に急激に減少する。その結果、21世紀半ばには白人男性がマイノリティになる
 
 当時のアメリカは従来型の産業の成長が鈍化し、製造業からサービス業への転換が必要とされていた時期でした。そのため、企業も人事や組織戦略を大きく見直す必要に迫られていたのです。

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