ダイバーシティって何?(第2回)--ダイバーシティの歴史的展開と企業のかかわり

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 労働力人口の変化予測を踏まえ、女性、有色人種、障害者、高齢者などを積極的に活用していく必要が生じてきました。ここから具体的なマネジメント手法としてダイバーシティ・マネジメントの研究や導入が本格的に始まったのです。

21世紀に入ると、ITの急速な発展や新興国の経済成長などにより、経済や企業活動のグローバル化が加速化しました。世界各地で国境を越えたM&Aも増加の傾向にあります。

こうしたグローバル化が成功するためには異なる文化背景、習慣、宗教などを持つ組織同士が合体することが必要です。多様な価値観を持つ人々や組織の力をまとめ上げ、そして成長力を高めるためには、組織の構成員の持つ多様性を競争力の源泉として積極的に活用せざるをえないのです。

グローバル化が進んだ21世紀企業の成功のカギはいかに優秀な人材を自社に引き付け、とどめるかです。この意味で個々人の価値観や生き方を認め合い、創造性を高めていくことが企業の経営戦略の重要な要素になってきたのです。

こうして、ダイバーシティは個を尊重する「ダイバーシティ」から、さらに良いところを認め合う「ダイバーシティ&インクルージョン」に変容していくのです。


堀井紀壬子 ほりい・きみこ
 東京大学卒業。日本航空、外資系メーカーを経てエイボンプロダクツで営業本部長。同社退社後、経営コンサルタント・キャリアカウンセラー。2003年日本女性の活躍を願う友人たちとNPO法人GEWEL(Global Enhancement of Women’s Executive Leadership)を設立、代表理事。ダイバーシティ&インクルージョン推進のための企業向けコンサルティング、企業文化調査、研修を行うと同時に、日本社会のダイバーシティ&インクルージョン推進のために講演、執筆などを行っている。

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