例えば、「陸」は、ジャングルや砂漠、あるいは災害救助など土砂や瓦礫が積もる場所での使用も想定し、砂・埃・泥の侵入を徹底的に防ぐ構造を開発。さらに方位・気温・気圧・高度などが確認できるセンサーも搭載した。このセンサーは「海」にもついており、「海」はさらに潮の満ち引きがわかる機能などを備え、環境変化の激しい海上任務も遂行できる工夫を施している。
そして「空」は、航空機内での使用を想定し、遠心力・衝撃力・振動力に耐えうる構造を実現。2都市の時刻を同時表示する機能の他、世界6局の標準電波とGPS衛星電波を両方受信し、どこにいても正確な時刻表示を叶えるという世界初の機能も搭載した。
同シリーズは、他にも、視認性や判読性を追求したライトや針など、細部に渡りこだわりがちりばめられている。
大人の男性を魅了するワケとは?
商品名や宣伝文句の印象が強く、実力が追いつかないモノも多くある中、これだけコンセプトと中身の一致を追求した商品も珍しい。しかし、購入層は必ずしも「陸・海・空のプロ」ではない。例えば「海」は釣り人に人気があるように、オフの日につけたい人や、こだわりのある人などの購入が多いようだ。同社時計事業部で商品企画を担当する齊藤慎司さんは、「一般的なビジネスマンにはオーバースペックなのですが」と笑い、こう続ける。「プロ仕様だからこそ安心して使えるということで、支持をいただいているのでは」。
そもそもGショックは、消防士や警察官、軍関連など、屋外で働くプロたちから絶大な信頼を得てきた。筆者の知人の建設現場関係者も、「現場は皆Gショック。自分も15年以上使っているけど、とにかく丈夫。雨天でも使えるし、バックライトも夜間作業に重宝」と話す。このように長年プロが認めてきた腕時計が改めて「プロ仕様」にこだわったということで、同シリーズは注目度や信頼感が一層大きくなっているとみられる。
また、「この世界観に共感してくださっている方が多いのだと思います」と、齊藤さんはヒット要因を分析するが、コンセプト作りとともにその演出がとってもウマイ。同シリーズのウェブサイトを見たとき、筆者は「覇者・王者・強者って何かのゲームですか?」と苦笑してしまったが、その言葉を裏付ける機能説明を始め、映画のような映像を眺めているうちに「うわあ、カッコイイ」と、すっかり魅了されてしまったのだ。
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