世界を代表する女性の肖像22人が訴えるもの アニー・リーボヴィッツが捉えた女性の変化
イーストロンドン
1月のロンドンは東京よりも暖かかった。いつものこの時期はダウンジャケットでも寒いくらいのはずなのに、私は薄手のコートでイーストロンドンのワッピング地区を歩いていた。
かつてスラム街だったテムズ川沿いのこの再開発地域は、いまや倉庫を改装した高級住宅やおしゃれなレストランが立ち並ぶ人気地区だ。向かっているのは、そこにある今は使用されていない水力発電所。米女性写真家のアニー・リーボヴィッツがここで新作『Women: New Portraits』を発表する。
アニー・リーボヴィッツは、『ヴォーグ』『ヴァニティ・フェア』『ローリング・ストーン』といった雑誌で写真を撮り続けてきたポートレイト・フォトグラファーだ。彼女をスターダムに押し上げた、裸のジョン・レノンがオノ・ヨーコにしがみついている写真を記憶する読者も多いだろう。その数時間後にジョンが暗殺されたのは、あまりにも有名な話である。
高揚感と緊張感を胸に会場に到着した私は、どっしりと重い鉄製の大きな扉を開けた。そこには世界中から集まったジャーナリストで溢れかえっていた。1999年に発表した、社会のあらゆる局面で生きる女性にスポットライトを当てた写真集『WOMEN』を、今日的に発展させるプロジェクトとして、リーボヴィッツは、長年現代アートをサポートし続けているスイスの金融機関、UBSを独占コミッショニング・パートナーに迎え、今回新たに22名の女性たちを撮り下ろした。これが新たに発表される『Women: New Portraits』だ。16年経ったいま、彼女が撮る女性たちはどう変わったのだろうか。